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論理的な文章を読んでその文脈を理解するには、論理的な概念を示す表現、特に文と文をつなぐ或いは段落と段落をつなぐ『つなぎの表現』を適切に理解する必要があります。
論理的な概念には、『一般論の提示、具体例の提示、列挙、追加、原因・理由、結果・結論、逆接、譲歩、対照・対比』などがありますが、今回はこの中から『逆接』の表現について解説したいと思います。
逆接とは
『逆接』とは、前に述べた内容から予期される結果の表れないことを示す表現です。
『逆接』を表す表現には次のようなものがあります。
日本語では、〔しかし、しかしながら、にもかかわらず、それでもやはり、たとえそれでも、それどころか、逆に、むしろ、〕などがあります。
英語では、〔but / yet / however / though / although / in spite of /despite / nevertheless / nonetheless / still / all the same / even so / on the contrary / rather〕などがあります。
それでは、『逆接』を表すそれぞれの表現について詳しく解説したいと思います。
逆接を表す〔but / yet / however〕
日本語では〔しかし、〕や〔しかしながら、〕という表現が純粋な逆接として使われます。
英語の場合、〔しかし、〕や〔しかしながら、〕に当てはまる単語は〔but〕〔yet〕〔however〕などがあります。
〔but〕〔yet〕〔however〕について例文を通して学びましょう。
⑴ He worked hard, but he didn’t succeeded.
(彼は一生懸命働いた。しかし、上手くいかなかった)
⑵ I’m average for my height. But I still feel I’m fatter than I should be.
(私は身長に対して平均的だ。しかし、それでも太り過ぎているように感じる)
⑴ Mary seems happy, yet she is troubled.
(メリーは幸福そうだ。しかし、悩みがある)
⑵ I don’t eat much, yet I am a size 16.
(私はあまり食べない。しかし、服のサイズは16だ)
⑴ It seems that the figures are falling; however, if we look into the details, we can see that net profits are improving.
(数値が減少しているように思える。しかしながら、詳細を見てみると、純利益は改善していることがわかる)
⑵ Our parents were poor; however, they sent us to college.
(両親は貧しかった。しかしながら、私たちを大学へ行かせてくれた)
逆接を表す〔though / although / in spite of /despite〕
〔though〕〔although〕〔in spite of〕〔despite〕は〔にもかかわらず、〕という意味を表します。
〔にもかかわらず、〕は、前に述べた内容から予想されることと反対の結果になることを表し、これはつまり逆接の表現になります。
それでは、〔though〕〔although〕〔in spite of〕〔despite〕について例文を通して学びましょう。
⑴ John failed the exam, though he made an effort.
(ジョンは努力したにもかかわらず、試験に失敗した)
⑵ Though she was no longer a future queen, Diana remained very popular.
(もう将来の王妃ではなかったにもかかわらず、ダイアナは依然としてすごい人気だった)
⑴ Although she liked dogs, Sue never let them come into her house.
(スーは犬が好きだったにもかかわらず、決して家の中に入れなかった)
⑵ Although it was raining, I decided to take a walk.
(雨が降っていたにもかかわらず、私は散歩をすることにした)
⑴ He survived in spite of suffering grievous injuries.
(彼は重傷を負ったにもかかわらず、生き延びた)
⑵ He intends to try to leave the country, in spite of a government order canceling his passport.
(政府がパスポートの失効を命じたにもかかわらず、彼は出国しようとしている)
⑴ Despite their best efforts, the child died the next day.
(彼らの最善の努力にもかかわらず、その子は翌日息を引き取った)
⑵ He continued to maintain that he did nothing wrong, despite clear evidence to the contrary.
(反対のはっきりとした証拠があるにもかかわらず、彼は何も悪いことはしていないと言い続けた)
逆接を表す〔nevertheless / nonetheless / still / all the same〕
逆接を表す表現として〔それでもやはり、〕があります。
この表現が使われている文脈を理解するのは少し難しいですが、そもそも〔それでもやはり〕がどのような場面で使用されるのかが分かれば文脈を正しく理解することが可能になります。
〔それでもやはり、〕がどのような場面で使用されるかというと、さまざまないきさつがあって、状況が変わると思いきや、結局初めに予想した結論に落ち着く時に使われます。
状況が変わると思ったけど、変わらなかったというところに逆接の要素があります。
英語の場合、〔それでもやはり〕に当てはまる単語(連語)は〔nevertheless〕〔nonetheless〕〔still〕〔all the same〕などがあります。
〔nevertheless〕は、〔never + the + less〕で、「少なくなることは全くない」から差が全くないこと、つまり「相変わらず」だという意味を持ち、何も変化がないことを表します。
〔nonetheless〕は、〔none + the + less〕で、〔nevertheless〕と同様に差が全くないという意味を持ち、何も変化がないことを表します。
〔still〕は、「依然として」という意味があり、何も変わっていないことを表します。
〔all the same〕は、「全てが同じで変わってないんだよ」という感じです。
それでは、〔nevertheless〕〔still〕〔all the same〕について例文を通して学びましょう。
⑴ My grandmother is past eighty, but she is, nevertheless, in good shape.
(私の祖母は80過ぎだが、それでもやはり、元気だ)
⑵ Medical science has made remarkable progress. Nevertheless, we still haven’t found fully effective treatment for cancer.
(医学は目覚ましい進歩を遂げている。それでもやはり、癌に対する完全に有効な治療法の発見には未だ至っていない)
⑴ It was snowing. Nonetheless, she went cycling.
(雪が降っていた。それでもやはり、彼女はサイクリングに出かけた)
⑴ He studies hard. Still, he shows little improvement in his school record.
(彼はよく勉強する。それでもやはり、成績があまり向上しない)
⑵ I was tired. Still, I had to work late at night.
(私は疲れていた。それでもやはり、深夜まで働かなければならなかった)
⑴ It is hard work; all the same, I enjoy it.
(きつい仕事だが、それでもやはり楽しんでいます)
⑵ It’s raining hard. All the same, we must start now.
(雨が激しく降っている。それでもやはり、私たちは今出発しなければならない)
逆接を表す〔even so〕
〔even so〕は〔たとえそうでも、〕という意味を表します。
〔たとえそうでも、〕の〔~でも、〕という表現は単純に逆接を表します。
〔even so〕について例文を通して学びましょう。
⑴ She looks like a very nice person. Even so, I don’t really trust her.
(彼女はとてもいい人のようだ。たとえそうでも、私は本当に彼女を信用しているわけではない)
⑵ This book has some mistakes; even so, it’s worth reading.
(この本にはいくつか間違いがあるが、たとえそうでも一読の価値はある)
逆接を表す〔on the contrary〕
〔on the contrary〕は〔それどころか、〕〔逆に、〕という意味を表します。
〔それどころか〕は、「それではなくて」というような意味で反対意見を導入する際に使われることがあり、予想や期待と反対の意見や結果にたどり着くというところに逆接の要素があります。
〔逆に〕は、その言葉の通り逆のことを述べる逆接の基本的な表現です。
〔on the contrary〕について例文を通して学びましょう。
⑴ “Are you happy with your new job?” “On the contrary, it’s very dull.”
(「新しい仕事は楽しいですか?」「それどころか、まったくつまらんよ」)
⑵ “A nation without a hero is an unfortunate nation.” “On the contrary, a nation in need of a hero is unfortunate.”
(「英雄のいない国は不幸だ」「逆に、英雄を必要とする国こそ不孝なんだ」)
逆接を表す〔rather〕
逆接を表す表現として〔むしろ、〕があります。
〔むしろ〕は、二つの物事を比べ合わせ、あれよりもこの方を選ぶという表現です。
あれだと思ったけれども、これだったというところに逆接の要素があります。
それでは、〔rather〕について例文を通して学びましょう。
⑴ The trade gap surprised most analysts by shrinking, rather than growing.
(貿易収支の赤字は増加せず、むしろ減少し、ほとんどのアナリストを驚かせた)
以上、英語の『逆接』の表現・単語(連語)について紹介しました。