名詞に冠詞を付ける際、「定冠詞(the)」「不定冠詞(a/an)」「無冠詞」の3通りがありますが、この3つをどのように使い分ければ良いか説明したいと思います。

冠詞の役割とは

まずは冠詞の役割について考えましょう。

冠詞は必ず名詞とセットで使われます。したがって、冠詞は名詞と非常に深い関係があるということが分かります。

冠詞の役割は、「冠詞をつける名詞に対し、その名詞に対して自分自身がどのような意識を向けているかを表す」というのが冠詞の役割です。

名詞に対して自分がどのような意識を向けているかを表すために使うのが冠詞なので、冠詞を意識せずに英語を使っている英語学習者は、名詞に対して何も意識が働いていないということになります。これが当てはまってしまっている学習者の方はしっかり反省しましょう。

さて、冠詞によって表される意識とはどのようなものがあるでしょうか。

冠詞によって表される意識は次のように9つあります。

冠詞によって表される意識

① 特定か不特定か

② 聞き手と話し手の共通認識があるかないか

③ 種類全体・代表例としての1つ・他との違いのどれを意識するか

④ 可算(数えられる)か不可算(数えられない)か

⑤ 可算で複数形の場合は量を数えるのか種類を数えるのか

⑥ 単数(1つ)か複数(2つ以上)か

➆ 形を意識するかしないか

⑧ 輪郭・境界を意識するかしないか

⑨ 機能・手段を意識するかしないか

それでは、9つのそれぞれの意識について詳しく説明していきます。

冠詞が表す9つの意識

① 特定か不特定か

名詞が特にそれと定まったものである場合は定冠詞の〔the〕が用いられます。特に定まったものでない場合は、不定冠詞の〔a/an〕を使うか、または冠詞なしの名詞単独となります。例えば、「We need a simultaneous interpreter.(誰か1人同時通訳者が必要です)」と言った場合、冠詞とセットになっている名詞が示す同時通訳者について、同時通訳者であれば誰でも良いという意味になります。

一方、「We need the simultaneous interpreter.(例の同時通訳者1人が必要です)」のように言った場合、必要な同時通訳者が特定の人に決まっているという意味になります。このようにして、冠詞を付ける名詞が特定か不特定かによって使う冠詞の種類を変えるのです。

これはつまり、名詞に対して曖昧なものを指しているのか、それとも具体的にそれと定まったものを指しているのかの意識が働いていて、その意識が冠詞によって表現されるということになります。

② 聞き手と話し手の共通認識があるかないか

話し手と聞き手の共通の認識がある場合、例えば「the car(その車)」と言った場合にお互いが分かり合えるような場面において定冠詞の〔the〕が使われます。

話題の中心となる名詞に対して、相手も知っているだろうという意識がある場合に、その意識を定冠詞の〔the〕を使って表現することになります。

③ 種類全体・代表例としての1つ・他との違いのどれを意識するか

例えば、「ライオンは組織立った群をなして暮らしている」と言いたい場合、名詞ライオンに冠詞なしで複数形「Lions live in organized groups」、不定冠詞〔a〕に単数形「A lion lives in an organized group.」、定冠詞〔the〕に単数形「The lion lives in an organized group」の3つ表現が可能です。意味的には同じですが、意識的には3つのそれぞれに違いがあります。

冠詞なしで複数形の「Lions」を使うと、ライオンと呼ばれる種類の全体をひとまとめにした全てのライオンという意識が働きます。

不定冠詞〔a〕を付けた単数形の「A lion」を使うと、その種類の代表例として1頭のライオンを取り上げるという意識が働きます。

定冠詞〔the〕に単数形の「The lion」を使うと、他との違いが意識され、他の動物との対比を意識した中でのライオンという動物という意識が働きます。他との違いが意識される「The lion」という表現は図鑑で使われます。

このように、名詞の特徴を述べる場合、種類全体を意識するのか、代表例として1つを意識するのか、他との違いを意識するのかのどれかに応じて冠詞を使い分けます。

④ 可算(数えられる)か不可算(数えられない)か

名詞には数えられる名詞(可算名詞)と数えられない名詞(不可算名詞)があります。

数えられる名詞とは、単位性があり、1つ、2つ...と数えられる具体的な形を持って空間に存在しているもの(=つまり物体)を指します。一方、数えられない名詞とは、単位性のない、物質や概念など形を持たないものが該当します。例えば、「dirt(土=物質)」や「advice(アドバイス=概念)」などは数えられない名詞になります。

定冠詞〔the〕は数えられる名詞と数えられない名詞の両方に使えますが、不定冠詞〔a/an〕は数えられる名詞にのみ使います。

可算か不可算のどちらであるかは語によって決まっているのではなく、人がその語が示すものを物体として捉えるのか、物質や概念的なものとして捉えるかという認識によって決まります。

例えば、「iron」という語がありますが、これを単位性のある物体として捉え「a iron」と言った場合、それは「不特定の1つの家庭用アイロン」を指し、単位性のない物質や概念的なものとして捉えて無冠詞で「iron」と言った場合、「物質としての鉄」を意味します。

⑤ 可算で複数形の場合は量を数えるのか種類を数えるのか

複数形可算の場合は、量を1つ、2つ...と数えているのか種類を1つ、2つ...と数えているのかを区別して意識する必要があります。量を数える例として、例えば「tree(木)」の複数形「trees(木々)」は物体としての「木」が複数(2本以上)あることを表します。

種類を表す例として、例えば「wood」という語は「木材」という意味で物質を表す不可算名詞ですが、その物質の種類が複数(例えば、桐や杉など)あり、その種類としての複数が意識される場合は「woods」という複数形の可算名詞として捉えることが可能です。

⑥ 単数(1つ)か複数(2つ以上)か

日本語に対して英語は非常に数に敏感で、常に数を数えようとする特徴があります。特に、単数(1つ)なのか複数(2つ以上)なのかを常にはっきりさせます。名詞には単数形と複数形の2つの形があり、数の意識がその名詞の形にはっきりと表れます。

定冠詞〔the〕は名詞の単数形と複数形の両方に使えますが、不定冠詞〔a/an〕は単数形の名詞にのみ使います。不特定の複数を表す場合は、冠詞を付けず名詞を複数に形にします。

➆ 形を意識するかしないか

形を意識するかしないかとは、具体的な形を持って空間に存在しているもの(=つまり物体)か、それとも具体的な形をもたないものであるかという意識で、単位性があるかないかを考える数えられる(可算)か数えられる(不可算)かの意識と深いつながりがあります。

不特定の単数のものに対し、形を意識する場合は不定冠詞〔a/an〕を付けます。一方、形を意識しない場合には不定冠詞〔a/an〕を付けずに無冠詞の単数形にします。

例えば「water(液体としての水)」は物質であり、具体的な形が存在するものとして意識されませんが、「a glass of water」と表現すると、水をグラスで切り取ったカタチあるものとして認識することができ、この場合は「グラスの形」という単位を持つ水として数えられるため不定冠詞の〔a/an〕を付けます。

その他の例として、「a chicken」と言った場合「ある不特定の1羽の鶏」と形のある生き物として鶏を捉えられることになりますが、不定冠詞の〔a〕を外して「chicken」と言った場合、形のない物質的なものとしての意識が働くことから「鶏肉」という意味になります。したがって、「鶏肉を食べた」と言う場合は「I ate chicken.」と不定冠詞〔a〕を付けずに表現します。

⑧ 輪郭・境界を意識するかしないか

定冠詞〔the〕には不定なもの・不分明なものに意識の上で輪郭を作る働きがあります。例えば、国名に「the United States(アメリカ合衆国)」のように定冠詞を付ける場合と、「Canada(カナダ)」のように国名に定冠詞を付けない場合があります。

「Canada(カナダ)」に定冠詞が付かないのは、それが明確な境界を持つ政治的概念と認識されるからです。一方で、「the United States(アメリカ合衆国)」は州が集まって構成されたもので、その数が増えることも減ることもあり得ます。定冠詞〔the〕はそのような不定のものを束ね、境界を定めるはたらきをします。

これと同じようにして定冠詞〔the〕は川の名前、海洋の名前、砂漠の名前にも付けます。例えば、「the Mississippi(ミシシッピ川)」「the Atlantic(大西洋)」「the Sahara Desert(サハラ砂漠)」のように定冠詞〔the〕が名前の前に付けられます。

川は支流も含めて、どこから始まるのかはっきりしません。海洋もあまりにも広大で漠然としています。大西洋はどこから北極海になるのか定かではありません。砂漠もあいまいです。このように、とらえどころのない漠としたものに定冠詞〔the〕はあたかも輪郭を描き出すはたらきをします。つまり、意識の上で輪郭・境界を描く場合に定冠詞〔the〕を意識的に使いそれを表現します

⑨ 機能・手段を意識するかしないか

「go to the bed」と言った場合「そのベッドの所に行く」という意味で〔bed〕を形のある寝具として捉えていることになりますが、「go to bed」と定冠詞の〔the〕を使わない場合は、〔bed〕が形のないものとして捉えられることになり、そうした場合〔bed〕には「寝る」という機能が意識されることとなり、「go to bed」で寝るという意味になります。

同様に「by taxi」や「by phone」と言う場合、意識されるのは具体的な車輌や電話機ではなく、そのような手段であり、形のないものを意識していることになります。

このように、物体そのものではなくその物体に関連する機能や手段を意識する場合に、名詞を無冠詞の単数形で使用してそれを表現します。

以上、冠詞を使う際の9つの意識について説明しました。

冠詞を正しく使うには、このように日本人の脳で普段は意識していないことを気に留めなければならず最初は大変ですが、ネイティブスピーカーがこのような意識で冠詞を使っていることをまずは理解しましょう。

そして、ネイティブスピーカーと同じような意識を働かせる訓練を積み重ね、ネイティブスピーカーと同じような感覚で冠詞を使いこなせるようにしていきましょう!

それでは、例文を通して冠詞の使い方の理解を深めましょう!

冠詞の使い方 例文 1~10

例文を通して冠詞の使い方を学びましょう!

「a coffee」と「coffee」の違い

例文 1

⑴ John stopped off at Central Station and had a coffee at George Cafe.
(ジョンは中央駅で途中下車し、ジョージ・カフェでコーヒーを一杯飲んだ)

⑵ He took a chair on to the porch and poured coffee from his thermos.
(彼はポーチに椅子を持ち出し、魔法瓶からコーヒーを注いだ)

コーヒーは数えられる形のあるものと数えない形のないもの両方として捉えることができます。

数えられる形のあるものとしてコーヒーを捉える場合、「コーヒー一杯」というようにもともと形のないコーヒーをカップで切り取ることでカタチあるものとして捉えます。

「コーヒー一杯」と、数えられる形のあるものとしてコーヒーを捉える場合は、単数を表す不定冠詞〔a〕と単数形〔coffee〕を組み合わせて「a coffee」とします。

形のない飲み物の種類としてコーヒーを捉える場合は、冠詞を付けず単数形〔coffee〕のみを使います

「bed」と「a bed」の違い

例文 2

⑴ Turn off the TV before you go to bed.
(寝る前にテレビを消しなさい)

⑵ There is a bed in the room.
(部屋にはベッドがある)

不特定の寝具である1台のベッドを表す場合、不特定の単数を表す不定冠詞〔a〕と単数形の〔bed〕を組み合わせて「a bed」とします。

単数形〔bed〕に冠詞を付けなかった場合、それは形のないものとして認識されます。形のないベッドとはどういうことかというと、この場合〔bed〕はそこで行われる『寝る』という機能が意識されるようになります。

したがって、冠詞を付けない単数形の〔bed〕を使って「go to bed」と表現した場合、「寝る」という意味になります。

「taxi」と「a taxi」の違い

例文 3

⑴ You can get there earlier by train than by taxi.
(タクシーよりも電車の方が早く着きます)

⑵ Call me a taxi.
(私にタクシーを1台呼んで)

名詞に冠詞を付けない場合、その名詞は数えられない名詞(不可算名詞)として認識され、その名詞が表すものには形がないという意識が働き、また、その名詞に関係する機能や手段などの面が意識されるようになります。

タクシーに冠詞を付けず単数形の〔taxi〕を使って「by taxi」とした場合、その〔taxi〕は具体的な車輌ではなく、形のない移動手段という面が意識されます。

一方、形のある1台、2台などと数える車としてタクシーを捉える場合、単数を表わす不定冠詞の〔a〕を付けるか、冠詞を付けずに複数形の〔taxis〕を使うことになります。

「a rope」と「rope」の違い

例文 4

⑴ She bought a long rope at the hardware store and used it to tie her husband to the bed at night in order to prevent his sleepwalking.
(彼女は夫の夢遊病を止めさせようと、荒物屋でロープを買い、夜それで夫をベッドに
しばりつけた)

⑵ The clerk recommended cotton rope, rather than hard nylon rope, as a superior material for tying up sleepwalking husbands.
(店員は夢遊病の夫をしばるためなら、堅いナイロンロープよりも木綿のロープの方が
良いとすすめた)

「1本のロープ」という具体的な物体を意識する場合〔rope(ロープ)〕に不定冠詞〔a〕をつけて「a rope」とし、「ロープという類のもの」というようにもっと漠然としたイメージでとらえる場合は冠詞を付けずに「rope」と表現します。

「a chicken」と「chicken」の違い

例文 5

⑴ I ate a chicken.
(私はある1羽の鶏を食べた)

⑵ I ate chicken.
(私は鶏肉を食べた」)

「鶏肉を食べた」という場合は、鶏を表わす名詞の〔chicken〕に不定冠詞〔a〕を付けません。鶏肉には具体的にこれと決まった形があるわけではなく、食べ物の種類のひとつという意識で捉えられるからです。

不定冠詞〔a〕を付けて「a chicken」とすると、生き物である「ある一羽の鶏」が意識されます。

「a tiger」と「the tiger」と「tigers」の違い

例文 6

⑴ A tiger is dangerous animal.
(トラは危険な動物だ)

⑵ The tiger is dangerous animal.
(トラは危険な動物だ)

⑶ Tigers are dangerous animal.
(トラは危険な動物だ)

トラと呼ばれる種類の全体をひとまとめにして全てのトラという意識を働かせる場合、「Tigers」を使います。その種類の代表例として1頭のトラを取り上げるという意識を働かせる場合、「A tiger」を使います。図鑑などで他の動物との対比を意識した中でのライオンという意識を働かせる場合、「The tiger」を使います。

「in summer」と「in the summer」の違い

例文 7

⑴ The Italian coast in summer attracts the rich and famous.
(夏にイタリアの海岸には金持ちや有名人がやってきます)

⑵ This house is warm in the winter, cool in the summer.
(この家は冬は暖かく、夏は涼しい)

季節を表す「summer」は単に時期を示す場合は無冠詞で、春夏秋冬という集合を意識してその中からひとつの季節を取り上げ、他の季節と対比して言う場合には定冠詞をつけます。

「a subject」と「the subject」の違い

例文 8

⑴ Japanese arranged marriage has recently become a subject of wide interest in the United States.
(日本のお見合いは、最近、アメリカで一般に興味深い話題のひとつとなっている)

⑵ Japanese arranged marriage has recently become the subject of wide interest in the United States.
(日本のお見合いは、最近、アメリカで一般的な注目のまととなっている)

「あるグループの中の1つ」という意識で不定冠詞〔a〕が使われ、「ある唯一の、ある特定の」という意識で定冠詞〔the〕が使われます。「一般的に興味深く思われている話題の中の1つ」と表現する場合は「a subject」と言い、「多くの人が共通で関心を持つ特定の話題」と表現する場合は「the subject」と言います。

「a shoulder massage」と「the shoulder massage」の違い

例文 9

⑴ Would you mind giving me a shoulder massage tonight?
(今晩、肩を揉んでくれないかね)

⑵ Would you mind giving me the shoulder massage tonight?
(例の肩もみのことだけど、今晩やってくれないかね)

話し手と聞き手の共通認識のある「例の肩もみ」という意味を表すには「the shoulder massage」と表現し、特に共通認識のない突然の依頼の1回の肩もみは「a shoulder massage」と表現します。

「Yankees」と「The Yankees」の違い

例文 10

⑴ Once they put on the pinstripe jersey, they are all from the same place. They are Yankees.
(ピンストライプのユニフォームを着れば誰であっても出身に変わりはない。
ヤンキース選手なのだ)

⑵ The Yankees celebrated their championship with a ticker tape parade Friday.
(金曜日、ヤンキース選手、紙吹雪の中をパレード)

アメリカに「Yankees(ヤンキース)」という野球チームが存在します。「The Yankees」と定冠詞の〔the〕が付いている場合、そこに輪郭・境界の意識が働き、野球チームという輪郭・境界の中にいる選手全員が揃って一体となっている、つまり、ヤンキースの選手をまとめて捉えるという意識が働きます。

定冠詞の付かない〔Yankees〕は選手の数が不定で、ヤンキースの選手をばらばらに捉えるという認識のもと使われます。

冠詞の使い方 例文 11~20

例文を通して冠詞の使い方を学びましょう!

「newspaper」と「newspapers」の違い

例文 11

⑴ Every kiosk in Shinjuku Station sells coffee and newspaper?
(新宿駅のどのキオスクもコーヒーと新聞紙を販売している)

⑵ Every kiosk in Shinjuku Station sells coffee and newspapers?
(新宿駅のどのキオスクもコーヒーと新聞を複数販売している)

不定冠詞〔a〕を付けない単数形は、不可算名詞とみなされ、数えられないものとして認識されます。数えられないものとして認識されるとは、例えば、物質や概念として捉えられるということです。

冠詞の付かない「newspaper」は素材としての紙に意識が向くため、新聞紙という認識になります。

冠詞を付けない場合であっても「newspapers」と複数形にすると、数が意識されることから、新聞という1部、2部…と数える新聞が意識されるようになります。

「the good result」と「good results」の違い

例文 12

⑴ In our research last year, we got the good result?
(去年の研究で、我々は例の1つの好結果を得た)

⑵ In our research last year, we got good results?
(去年の研究で、我々はいくつかの好結果を得た)

「好結果」が得られた場合、その結果が1つであるのか複数であるのか、また、その結果自体はあらかじめ予想されていたものなのか、そうでないものかということを明確にする必要があります。

あらかじめ予想されていた例の1つの好結果である場合は、定冠詞〔the〕と単数形の〔good result〕を組み合わせて「the good result」とします。

不特定の複数の好結果である場合は、冠詞を付けず複数形の〔good results〕を使います。

「a solution」と「the solution」の違い

例文 13

⑴ We finally found a solution that we were looking for.
(見つけた解決策は、求めていたいくつかの解決策の1つに過ぎなかった)

⑵ We finally found the solution that we were looking for.
(求めていた1つの解決策をやっと見つけた)

複数の解決策を求めていたが見つかったのがその中の1つと表現したい場合、複数の中の不特定の単数を意識する不定冠詞〔a〕に単数形の〔solution〕を組み合わせて「a solution」とします。

求めていたその1つの解決策と表現したい場合、定冠詞〔the〕と単数形の〔solution〕を組み合わせて「the solution」とします。

「a piano」と「the piano」の違い

例文 14

⑴ I heard the sound of a piano from the house.
(その家からピアノの音がした)

⑵ He plays both the piano and the guitar.
(彼はピアノもギターもどちらも弾きます)

野球をするという場合は、「play baseball」と言いますが、ピアノを弾く場合には「play the piano」と定冠詞の〔the〕が用いられます。

定冠詞の〔the〕を付けると、他との違いが意識されます。楽器の場合、オーケストラで複数の楽器が集まって演奏が行われるという前提があるので、楽器を弾くと表現する場合、その楽器には楽器の集合の中において他の楽器との違いが必然的に意識されることから定冠詞〔the〕が付くことになります。

オーケストラの一部ではなく、1台と数えられる形のあるピアノを表現したい場合、不定冠詞〔a〕と単数形〔piano〕を組み合わせて「a piano」とします。

「on Monday」と「on a Monday」の違い

例文 15

⑴ How about getting together on Monday or Tuesday?
(今度の月曜か火曜日に集るのはどうですか?)

⑵ How about getting together on a Monday or a Tuesday?
(近いうちの月曜か火曜日に集るのはどうですか?)

「近いうちの月曜か火曜に集りませんか」と言いたい場合、近いうちという一定期間内にある複数の月曜日のひとつということを明確にしなければなりません。この場合、単数という数を意識する不定冠詞〔a〕を使い「on a Monday」とすることによって複数選択肢がある中のひとつの月曜日ということを表すことができます。

一方、冠詞なしで「on Monday」とした場合、今度の月曜日という意味になります。

「an ex-wife」と「the ex-wife」の違い

例文 16

⑴ In April, I introduced a coach of my tennis club to an ex-wife of my brother.
(4月に、私のテニスクラブの複数のコーチの中の1人を弟の複数の離婚した妻のうちの1人
に紹介した)

⑵ In April, I introduced a coach of my tennis club to the ex-wife of my brother.
(4月に、私のテニスクラブの複数のコーチの中の1人を弟の離婚した唯一の妻に紹介した)

「あるグループの中の1つ」という意識で不定冠詞〔a〕が使われ、「ある唯一の、ある特定の」という意識で定冠詞〔the〕が使われます。「an ex-wife」と表現した場合は「複数回の離婚がある中での妻の1人」という意味になり、「the ex-wife」と表現した場合は「離婚した唯一の妻」という意味になります。

「a wood」と「wood」と「woods」の違い

例文 17

⑴ Paulownia is a wood which lends itself comfortably to the size and type
 of design traditionally used in this country for chests of drawers.
(桐は、この国の代表的なタンスの大きさとその形式によく調和している木である)

⑵ Wood retains a warmth of texture and, in fact, may often become more
 beautiful with age.
(木材というものは暖かな肌あいを保っており、しかも年月を経て一層美しくなる
ことがよくある)

⑶ Woods such as teak and lauan are used for furniture.
(チークやラワンのような木材は家具を作るのに使われます)

〔wood〕は木材という意味です。物質を表すので不可算名詞として冠詞を付けないのが普通ですが、木材の種類を考える場合、「ある1つの種類の木材」という意味では〔a wood〕になり、「複数(2つ以上)の種類の木材」という意味では〔woods〕と表現されます。

「rain」と「a rain」と「the rain」の違い

例文 18

⑴ Rain tends to fall only very lightly in southcentral Spain during
 the summer months.
(スペイン中南部の夏は、雨はほんのちょっとしか降らない)

⑵ There was a nice, soft rain in northern Spain last night.
(昨夜、スペインの北部には、気持ちの良い、静かな雨が降った)

⑶ The rain in England had been rather cold and dreary, but the rain
 in Spain was unexpectedly warm and refreshing.
(イギリスで降っていた雨は結構冷たくて陰鬱だったのに、スペインの雨
は意外なほど暖かく爽やかだった)

一般的な雨を意識する場合、冠詞を付けない「rain」を使います。「a rain」は、雨の種類はいろいろあるが、その中のひとつの種類として実際に降った雨を表現する際などに使います。「the rain」は、雨は地球上の大体どこにでも降るがとくに限定された場所に降る雨と表現する際などに使います。

「dollar」と「a dollar」と「dollars」の違い

例文 19

⑴ Do you have dollar?
(不適当:ドルという病気のようなものにかかってますか?)

⑵ Do you have a dollar?
(1ドルを持っていますか?)

⑶ Do you have dollars?
(いくつかドルを持っていますか?)

「ドル」は数えられる名詞(可算名詞)で「ドルを持ってますか」と言う場合の「ドル」は複数形の〔dollars〕で表現し、「1ドル」と言う場合は不定冠詞を付けて〔a dollar〕と表現します。不可算名詞のように冠詞を付けずに単数形〔dollar〕で使われることはありません。もし「Do you have dollar?」と言ってしまった場合、「あなたはドルという病気のようなものにかかっていますか」というようなニュアンスになってしまいます。

「a friend」と「my friend」と「my friends」の違い

例文 20

⑴ I went to Thailand with a friend.
(私は、友達の中の1人と一緒にタイに行った)

⑵ I went to Thailand with my friend.
(私は、1人しかいない私の友達と一緒にタイに行った)

⑶ I went to Thailand with my friends.
(私は、私の友達全員と一緒にタイに行った)

「my friend」は「決まった一人、例の友達」という意味になります。これは、所有格の〔my〕には定冠詞の〔the〕のような特定する働きがあるからです。相手がその友達を知っている場合には使えますが、知らない場合に使うと不適当です。

また、「my friend」とは「世の中で唯一の友達」という意味なので、友達が複数いてその中の特定の一人と表現したい場合は「my friend」ではなく「a friend」が正解です。

「my friends」と複数形の〔friends〕を使うと、「私の友人と呼べる人間全員」という意味になります。

冠詞の使い方 例文 21~26

例文を通して冠詞の使い方を学びましょう!

「money」と「my money」の違い

例文 21

⑴ Last night, she stole money from me.
(昨夜、彼女にお金をいくらか盗まれた)

⑵ Last night, she stole my money.
(昨夜、彼女にそのとき持っていたお金を全て盗まれた)

お金をいくらか盗まれたという場合は、冠詞を付けず単数形の「money」を使います。

所有格を付けて「my money」とした場合、所有格には定冠詞と同じように『特定の』という意識が働くため、「そのとき持っていた特定のお金」となり、つまり「その時持っていた全部のお金」ということになります。

「nuclear power plants」と「the nuclear power plants」と「Japan's nuclear power plants」の違い

例文 22

⑴ The government plans to phase out nuclear power plants in Japan.
(政府は、日本に複数ある原子力発電所のうち複数台の段階的廃止を予定している)

⑵ The government plans to phase out the nuclear power plants in Japan.
(政府は、日本に複数ある原子力発電所の全ての段階的廃止を予定している)

⑶ The government plans to phase out Japan's nuclear power plants.
(政府は、日本に複数ある原子力発電所の全ての段階的廃止を予定している)

原子力発電所が複数あり、その全てを廃止する予定の場合、複数の特定できる全ての原子力発電所が対象ということになりますので、定冠詞〔the〕と複数形の〔nuclear power plants〕を組み合わせて「the nuclear power plants」とします。(特に他の文で〔the〕の内容を指示するものがない場合に限る)

また、所有格は定冠詞〔the〕と同じように『特定』という意識が働きますので、所有格の〔Japan's〕に複数形の〔nuclear power plants〕を組み合わせて「Japan's nuclear power plants」とした場合も、複数の全ての原子力発電所を対象としていることになります。

原子力発電所が複数あり、その中のいくつか(=2つ以上)を廃止する予定の場合、複数の不特定の原子力発電所が対象ということになりますので、定冠詞は付けず複数形の〔nuclear power plants〕だけを使います。

「its feature」と「one of its features」の違い

例文 23

⑴ We employ a new high-frequency amplifier. Its feature is low
 power-consumption.
(我々は新しい高周波増幅器を用いる。その唯一の特徴は低消費電力である)

⑵ We employ a new high-frequency amplifier. One of its features is low
 power-consumption.
(我々は新しい高周波増幅器を用いる。そのひとつの特徴は低消費電力である)

所有格の代名詞は「その人や物が所有している唯一の(=すべての)」を表します。したがって、「its feature」と表現すると、「その唯一の特徴」という意味になります。「特徴」がひとつではなく、複数ある内のひとつであることを表現する場合は〔one of its features〕と言いましょう。

「your eyes」と「my left eye」の違い

例文 24

⑴ I like your eyes.
(私はあなたの目が好きです)

⑵ I got hit my left eye.
(私の左目を殴られた)

人間の目は2つあるので、通常「目」と言う場合は複数形の〔eyes〕を使います。片方の目だけを表現したい場合は単数形の〔eye〕を使い、右左の違いを言う場合は〔eye〕の前に〔left〕か〔right〕を使います。

「a leg」と「his legs」の違い

例文 25

⑴ He says he has a sore leg.
(彼は片足のどちらかが痛いと言っている)

⑵ He says his legs are sore.
(彼は両足が痛いと言っている)

足は数えられる名詞で、人間の足は2本あります。どちらとは言わないが片方の足が痛い場合単数形の〔leg〕に不定冠詞〔a〕を付けた「a leg」で表現し、両方の足が痛い場合は複数形の〔legs〕に所有格〔his〕をつけて表現します。

「a boyfriend」と「boyfriends」と「the boyfriend」と「the boyfriends」の違い

例文 26

⑴ She often recalls a boyfriend she had in college.
(彼女はよく大学時代の複数の彼氏の中の1人を思い出す)

⑵ She often recalls boyfriends she had in college.
(彼女はよく大学時代の複数の彼氏の中の何人かを思い出す)

⑶ She often recalls the boyfriend she had in college.
(彼女はよく大学時代の1人しかいなかった彼氏を思い出す)

⑷ She often recalls the boyfriends she had in college.
(彼女はよく大学時代の複数の彼氏の全員を思い出す)

「大学時代の彼氏」が1人しかいない場合は、必然的に特定の1人ということになりますので、定冠詞〔the〕に単数形の〔boyfriend〕を組み合わせて「the boyfriend」とします。

「大学時代の彼氏」が複数いて、その中の1人が対象となる場合、複数の中の不特定の単数を意識する不定冠詞〔a〕に単数形の〔boyfriend〕を組み合わせて「a boyfriend」とします。

「大学時代の彼氏」が複数いて、その中の全員が対象となる場合、特定される複数人となるため、定冠詞〔the〕に複数形の〔boyfriends〕を組み合わせて「the boyfriends」とします。

「大学時代の彼氏」が複数いて、その中の何人か(=2人以上)が対象となる場合、不特定の複数人となるため、冠詞は付けずに複数形の〔boyfriends〕だけを使います。

例文は以上です。

「定冠詞(the)」「不定冠詞(a/an)」「無冠詞」の3通りの使い分けについて解説しました。

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