ことばを用いて相手に何かを伝える際、それが「事実」であるのか、それとも「(事実ではなく)心の中で思ったこと」であるのかを明確に区別して伝えることは非常に大切です。

英文法では、ある事柄を事実として述べることを『直接法』と言い、心の中で想定したことについて述べることを『仮定法』と言います。

英語という言語では、ある事柄が「事実(『直接法』)」であるのか、それとも「(事実ではなく)心の中で思ったこと(『仮定法』)」であるのかを区別する際、動詞のカタチを変化させてその違いを表わします。

動詞の語形変化(活用)には、『原形、現在形、過去形、過去分詞形、ing形』の5つがあります。

例えば、過去という時を表わす場合には動詞を『過去形』にします。現在という時を表わす場合には動詞を『現在形』にします。

また、動作の完了や動作が受身であることを表わす場合には動詞を『過去分詞形』にし、動作が進行中であることを表わす場合には動詞を『ing形』にします。

このような感覚と同じようにして、動詞を語形変化させることによって、「事実(『直接法』)」であるのか、それとも「(事実ではなく)心の中で思ったこと(『仮定法』)」であるのかの違いを表わすことができます。

事実を述べる『直接法』の場合は、現在のことを表わす際に動詞を『現在形』にします。これは通常の感覚です。

一方で、事実ではなく心の中で思ったことを述べる『仮定法』の場合は、現在(と未来)のことを表わす際に動詞をあえて『過去形』にします。

過去とは、別の言い方をすると、現在と切り離された時間です。つまり、現在のことをあえて『過去形』で表現することによって、表現した内容が事実とは切り離された心の中で想定したことだという感覚を聞き手に与えることができるようになるのです。

実は日本語でもこのような、事実ではなく心の中で思ったことを『過去形』で表すということが行われています。

次の例文をご覧ください。

例文(日本語)

一年中クリスマスだったらなぁ。

この例文は事実ではなく心の中で思ったことを述べていますが、「クリスマスだった」と過去形が使われています。このように、事実ではなく心の中で思ったことを言い表す際、日本語でも、過去形で表現されていることが伺えます。ちなみにこれを英語で表現すると次のようになります。

例文(英語)

I wish it were Christmas all the time.

be動詞の過去形 were で表現されています。

これが『仮定法』です。また、このように動詞の過去形を用いた『仮定法』は『仮定法過去』と呼ばれます。

それでは、次にこの『仮定法過去』について詳しく解説していきたいと思います。

仮定法過去について

動詞を『過去形』に変化させ、事実とは異なる心の中で思ったことを表現するのが『仮定法過去』です。

『仮定法過去』では、現在や未来のことをあえて動詞の『過去形』で表現することにより、表現者が事実とは異なる心の中で思ったことを言い表しているという意識や感覚を相手に伝えることができます。

『仮定法過去』で動詞を過去形にする際、be動詞には特別の注意が必要です。

be動詞は、過去形として〔wasとwere〕の2つのカタチがあり、『直接法』の場合は、よく知られているように、人称あるいは単数/複数によって2つを使い分けます。一方、『仮定法過去』でbe動詞を用いる場合は、人称あるいは単数/複数に関係なく、〔were〕のみを使うことになっているので注意しましょう!

『仮定法過去』は〔I wish ...〕などの決まったカタチ(構文)やif節の中で使われることが多いです。『仮定法過去』に関して、まずは、『仮定法過去』の代表的な構文として認識されているものについて説明していきます。

『仮定法過去』の構文について

『仮定法過去』が使われる構文には、〔I wish + S +V(仮定法過去)〕〔If only + S +V(仮定法過去)〕〔It is time + S +V(仮定法過去)〕〔would rather + V(仮定法過去)〕〔had(仮定法過去) + better + V(原形)〕〔as if/though + S + V(仮定法過去)〕〔as it + were(仮定法過去)〕などがあります。

1つずつ確認していきましょう。

『仮定法過去』〔I wish + S +V(仮定法過去)

『仮定法過去』はよく〔I wish + S +V(仮定法過去)〕というカタチで使われます。この場合、現在の事実とは違う想像や願望が述べられることが多いです。

例文を確認してみましょう。

例文 仮定法過去1

⑴ I wish I were an astronaut and could fly into space. (宇宙飛行士になって宇宙に飛んでいけたらいいのに。)

⑵ I wish it were Christmas all the time. (1年中クリスマスだったらなぁ。)

例文⑴は、宇宙飛行士でない人が現実に反して宇宙飛行士になることを想像していて、その想像の内容に用いられる動詞の〔were〕と助動詞〔could〕が『仮定法過去』を表わしています。

例文⑵は、現実に反する1年中クリスマスであるという状況を想像しています。想像の内容に用いられる動詞〔were〕が『仮定法過去』を表わしています。

『仮定法過去』〔If only + S +V(仮定法過去)

〔I wish〕の代わりに〔If only〕を用いて〔If only + S +V(仮定法過去)〕というカタチが使われることもあります。この場合も、現在の事実とは違う想像や願望が述べられることが多いです。

例文を確認してみましょう。

例文 仮定法過去2

⑴ If only I had more time. (もっと時間があればなぁ)

⑵ If only it would stop raining! (雨がやんでくれさえすればなぁ!)

例文⑴は、時間がないという現実に反してもっと時間があればと願望が述べられています。願望の内容に用いられる動詞〔had〕が『仮定法過去』を表わしています。

例文⑴は、雨が降っているという現実に反して雨が止めばと願望が述べられています。願望の内容に用いられる助動詞〔could〕が『仮定法過去』を表わしています。

『仮定法過去』〔It is time + S +V(仮定法過去)

『仮定法過去』は〔It is time + S +V(仮定法過去)〕というカタチでもよく使われます。この場合、「もうその時なのに実際はそうなっていない」と気持ちが込められます。ちなみに『直接法』の〔It is time for A to ~〕だと単に「まさにその時だ」という意味合いになります。

例文を確認してみましょう。

例文 仮定法過去3

⑴ It’s time we began to discuss our plan. (計画についての討論を始めていいときなのだが。)

⑵ It’s time he came to call me to dinner. (彼が私を食事に呼びにきてもいい時間なのだが。)

例文から、時間になってもそうなっていないことに対して『仮定法過去』が用いられていることが分かります。

『仮定法過去』〔would rather + V(仮定法過去)

『仮定法過去』は〔would rather +V(仮定法過去)〕というカタチでもよく使われます。この場合、「むしろ~のほうがよい」と心の中で思ったことを言い表します。

例文を確認してみましょう。

例文 仮定法過去4

⑴ I would rather you came tomorrow. (むしろ明日来ていただきたい。)

⑵ I would rather you did not mention the subject to her. (そのことについてはむしろ彼女に言わないでほしい。)

例文から、心の中で思ったことが『仮定法過去』で表現されていることが分かります。

『仮定法過去』〔had(仮定法過去) + better + V(原形)〕

『仮定法過去』は〔had(仮定法過去) + better + V(原形)〕というカタチでもよく使われます。この場合、「~したほうがよい」と心の中で思ったことを言い表します。

例文を確認してみましょう。

例文 仮定法過去5

⑴ You had better stay home because you have a fever. (熱があるんだから、学校は休んだ方が良い。)

⑵ You had better apply for that. (君はそれに申し込んだほうがよい。)

例文から、心の中で思ったことが『仮定法過去』で表現されていることが分かります。

『仮定法過去』〔as if/though + S + V(仮定法過去)

『仮定法過去』は〔as if/though + S + V(仮定法過去)〕というカタチでもよく使われます。この場合、「まるで~であるかのように」と心の中で思った比喩的なことを言い表します。

例文を確認してみましょう。

例文 仮定法過去6

⑴ They treated me as if I were a baby. (彼らは私をまるで赤ん坊のように扱った。)

⑵ He talks as if he were reading from an encyclopedia. (彼はまるで百科事典を読み上げているかのように話す。)

⑶ She swiped at him as though he was a fly. (彼女は彼をまるでハエでもあるかのように横殴りにした。)

例文から、心の中で思った比喩的なことが『仮定法過去』で表現されていることが分かります。

『仮定法過去』〔as it + were(仮定法過去)

『仮定法過去』は〔as it + were(仮定法過去)〕というカタチでもよく使われます。この場合も、「言わば(例えていえば)」と心の中で思った比喩的なことを言い表します。

例文を確認してみましょう。

例文 仮定法過去7

⑴ He is, as it were, an endless dreamer. (彼はいわば果てしない空想家だ。)

⑵ Her career is, as it were, a kind of Cinderella story. (彼女の経歴は、言わば、ある種のシンデレラストーリーだ。)

例文から、心の中で思った比喩的なことが『仮定法過去』で表現されていることが分かります。

if節の中身が『仮定法過去』

if節を文中で用いた場合、「もし~ならば」という条件を提示します。if節の中で『仮定法過去』が使われた場合は、「この条件設定はあり得ないけれども」という話者の気持ちが込められます。一方、if節の中が『直接法』の場合は、単なる条件の提示です。

if節内の『仮定法過去』と『直接法』を比較してみましょう。

例文 直接法 vs 仮定法過去

⑴ What will you do if this building catches fire? (もしこの建物が火事になったらあなたはどうしますか?)<直接法>

⑵ What would you do if this building caught fire? (この建物が火事になることはないだろうが、もしそうなったらあなたはどうしますか?)<仮定法過去>

例文⑴の『直接法』では、話者が火事になる可能性は5分5分くらいと考えているのに対し、例文⑵の『仮定法過去』では、話者が火事になる可能性はほとんど0%であると考えている、というような条件に対する意識の違いが表われています。

if節は条件を提示するので「条件節」と呼ばれ、文中でそれ以外の部分、つまり結果や結論を言い表している部分は「帰結節」と呼ばれます。

『仮定法過去』では、この「条件節」と「帰結節」の両方に過去形を用います。

「条件節」は〔If + S’ + V(仮定法過去)〕となります。

「帰結節」は通常主語の後に助動詞を置き、この助動詞を過去形にして〔S + 助動詞(仮定法過去) + V(原形)〕というカタチにします。

「条件節」と「帰結節」を合わせて考えると次のようになります。

仮定法過去の「条件節」と「帰結節」

If + S’ + V(仮定法過去),  S + 助動詞(仮定法過去) + V(原形)〕

早速、このカタチを例文で確認しましょう。

例文 仮定法過去8

⑴ If you were offered a ticket to the moon, would you accept it? ((あり得ない話だが)もし月への切符をあげようと言われたら、あなたはそれを貰いますか?)

⑵ If a burglar came into my room, I would throw something at him. ((あり得ない話だが)もし強盗が部屋に入ってきたら、物をぶつけてやります。)

例文から、「条件節」であり得ない出来事と考えながらも条件を設定し、「帰結節」でその結論を想像で述べ、この両方の内容に対し『仮定法過去』が用いられていることが分かります。

以上のように、if節内で『仮定法過去』を使う場合、あり得ないことを想像して述べるという側面があることが理解できたと思います。

この他にも、if節内で『仮定法過去』を用いる事で、現実と違うことを想像して述べることができます。

if節内に『仮定法過去』を用いて現実と違うことを想像して述べる

「現実と違うことを想像して述べる」場合について、例文で確認してみましょう。

例文 仮定法過去9

⑴ If my computer worked, I could play video games every day. (もし私のコンピューターが動くなら、毎日ゲームで遊べるのに。)

⑵ We might move to a bigger house if we had more money. (もっとお金があれば、もっと大きな家に引っ越すかもしれないのだが。)

例文⑴では、コンピューターが動かないという現実に対し、現実とは異なる「動いたら」ということを想像して、毎日ゲームで遊ぶだろうと想像上の結論を導いています。

例文⑵では、お金がたくさんあるわけではないという現実に対し、現実とは異なる「もっとお金があったら」ということを想像して、もっと大きな家に引っ越すかもしれないという想像上の結論を導いています。

さて、前にも説明したように、『仮定法過去』の「条件節」と「帰結節」の基本のカタチは以下です。

仮定法過去の「条件節」と「帰結節」

If + S’ + V(仮定法過去),  S + 助動詞(仮定法過去) + V(原形)〕

『仮定法過去』の「条件節」のカタチについては、これ以外にもよく使われる表現があります。

それらについて説明します。

「条件節」に〔were to〕を使う

「条件節」に〔were to〕を用いることがあります。

「条件節」に〔were to〕

If + S’ + were(仮定法過去) to + 動詞(原形),  S + 助動詞(仮定法過去) + V(原形)〕

「条件節」に〔were to〕を使う場合は、全く実現の可能性のない仮定から、実現の可能性のある仮定まで、幅広い仮定について言い表すことができます。

例文を確認してみましょう。

例文 仮定法過去10

⑴ If I were to be reborn, I would be a statesman. (もし生まれかわれるのなら、私は政治家になりたい。)

⑵ If I were to go abroad, I would like to visit Italy. (もし外国に行けるとすれば、私はイタリアに行きたい。)

例文⑴では、「生まれかわる」という非現実的な仮定に対し〔were to〕(仮定法過去)が用いられています。

例文⑵では、「外国に行けるなら」という難しいかもしれないが状況が整えば実現の可能性が考えられる仮定に対し〔were to〕(仮定法過去)が用いられています。

「条件節」に〔should〕を使う

「条件節」に〔should〕を用いることがあります。

「条件節」に〔should〕

If + S’ + should(仮定法過去) + 動詞(原形),  S + 助動詞(仮定法過去) + V(原形)〕

助動詞〔should〕は助動詞〔shall〕の過去形です。よって、「条件節」に〔should〕を使う場合も『仮定法過去』になります。「条件節」に〔should〕を使う場合、「万一 ~ すれば」という意味になり、起こるか起こらないか分からないが、話し手が可能性は少ないと思っている場合に使われます。

例文を確認してみましょう。

例文 仮定法過去11

⑴ If I should fail, I would try again. (万一失敗しても、またやるつもりです。)

⑵ She might feel sad if you should fail this time. (万一あなたが今度失敗したら、彼女は悲しむかもしれません。)

例文⑴も⑵も、失敗する可能性はほとんどないという認識が含意されています。

仮定法過去完了について

『仮定法過去』は、現在や未来のことに目を向けて心の中で思ったことや現実的ではない想像や願望を表わしていました。

これに対し、『仮定法過去完了』は、過去の出来事に目を向けて、過去の事実に反する想像を言い表します。

過去完了形 - (助動詞付かない場合)〔had + 動詞の過去分詞形〕/(助動詞付く場合)〔助動詞の過去形 + have + 過去分詞形〕」を使って表現するので、『仮定法過去完了』と呼ばれます。

例文で確認してみましょう。

例文 仮定法過去完了1

⑴ He would have lost his hearing if the operation hadn’t been successful. (もし手術が成功しなかったら、彼は耳が聞こえなくなっただろう。)

⑵ If they had left a little earlier, they would have avoided the heavy traffic. (もう少し早く出かけていたら、彼らは交通渋滞を避けられただろう。)

⑶ I wish I hadn’t said that. (あんなことを言わなければよかった。)

⑷ If only we had thought of it before. (事前に考えておけばよかった。)

⑸ He was certainly a stranger, yet she felt as if she had seen him before. (彼は確かに見知らぬ人だったが、彼女は彼に以前会ったことがあるような気がした。)

例文⑴は、手術が成功し、耳が聞こえているという現在の状況に反する想像が行われていて、その過去の出来事(手術)に対する想像の内容が『仮定法過去完了』で表現されています。

例文⑵は、交通事故に遭ったという過去の事実に対して、もう少し早く出ていれば事実と異なる結果になっていただろうという想像(後悔)が『仮定法過去完了』で表現されています。

例文⑶と⑷は、過去の事実に対し、心の中で思った過去の事実と反対のことが『仮定法過去完了』で表現されています。

例文⑸では、過去に心の中で思ったことが『仮定法過去完了』で表現されています。

「条件節」と「帰結節」の時制について

「条件節」と「帰結節」の表わす時(時制)が同じでない場合は、『仮定法過去』と『仮定法過去完了』を組み合わせて用いることもあります。

この場合について、以下に説明します。

「条件節」が現在・未来、「帰結節」が過去の場合

現在や未来に目を向けて、事実と異なることを「もし~なら」と想像し、その結論として過去のことを「~だっただろう」と振り返る場合は、「条件節」に『仮定法過去』を用い、「帰結節」に『仮定法過去完了』を用います。

例文で確認してみましょう。

例文 仮定法過去と仮定法過去の組合せ1

⑴ If I were a man, I would have fallen in love with her. (もし私が男なら、私は彼女に恋してしまっていたことでしょう。)

⑵ If I knew any French, I would have known that the museum closed at three. (もし少しでもフランス語ができれば、博物館が3時には閉まるということがわかっただろうに。)

例文では、今の時点の現実と異なる想像を、過去の出来事に当てはめて更なる想像が展開されています。
「条件節」が『仮定法過去』で、「帰結節」が『仮定法過去完了』になっています。

「条件節」が過去、「帰結節」が現在・未来の場合

過去に目を向けて、過去の事実と異なることを「もし~だったなら」と想像し、その結論として現在・未来のことを「~だろう」と導く場合は、「条件節」に『仮定法過去完了』を用い、「帰結節」に『仮定法過去』を用います。

例文で確認してみましょう。

例文 仮定法過去と仮定法過去完了の組合せ2

⑴ If John had gone to college when he finished high school, he would be a senior now. (もしジョンが高校卒業の年に大学へ入っていたら、もう最高学年(4年生)になっているだろうに。)

⑵ If you had not eaten so much, you would not be so sleepy now. (あんなに食べなかったら、今ごろこんなに眠くなることもないのに。)

例文では、過去の事実とは違うことを想像し、それを今現在に当てはめて更なる想像が展開されています。
「条件節」が『仮定法過去完了』で、「帰結節」が『仮定法過去』になっています。

仮定法で表現される「~がなかったら(なければ)」

「~がなかったら(なければ)」と世の中に実在する何かの存在の否定を前提として話を進めたい場合、その内容は想像の世界の話になるので仮定法が用いられます。

「~がなかったら」と過去について述べる際は〔If it had not been for ~〕(仮定法過去完了)という表現が使われ、「~がなければ」と現在について述べる際は〔If it were not for~〕(仮定法過去)という表現が使われます。

また、同じ内容で〔if〕を用いない簡単な表現として、〔but for ~〕〔without ~〕という表現があります。この2つは現在と過去の両方について使用することができます。

例文を確認してみましょう。

例文 「~がなかったら(なければ)」

⑴ If it were not for air and water, we could not live. (もし空気と水がなければ、私たちは生きられないでしょう。)

⑵ If it had not been for your help, I should have died. (もしあなたの助けがなかったら、私は死んでいたでしょう。)

⑶ But for a sense of humor, you might not understand this book. (ユーモアのセンスがなければ、この本を理解できないかもしれません。)

⑷ Without the money, you could not have bought this. (そのお金がなかったら、あなたはこれを買うことができなかったでしょう。)

仮定法のifの省略について

『仮定法過去』や『仮定法過去完了』の「条件節」で用いられる接続詞の〔if〕は省略されることがしばしばあります

『仮定法過去』や『仮定法過去完了』の「条件節」で〔if〕が省略された場合、動詞の〔were〕もしくは助動詞の〔had〕か〔should〕が文頭に来て、その後に主語が続くといった倒置の文になります。

例文で確認してみましょう。

例文 ifの省略(条件節)

⑴ Were I in your place, I would not do such a thing. (私があなたの立場なら、そんなことはしないでしょう。)<if省略(倒置)形>

  ⇒(if省略がない場合) If I were in your place, I would not do such a thing.

⑵ Had we known what was about to happen, we would have changed our plan. (何が起ころうとしているのかが分かっていたら、私たちは計画を変更していただろう。) <if省略(倒置)形>

  ⇒(if省略がない場合) If we had known what was about to happen, we would have changed our plan.

⑶ Should anyone come to see me, tell him I am away. (万一誰かが私に会いに来たら、私は留守だと伝えてください。) <if省略(倒置)形>

  ⇒(if省略がない場合) If anyone should come to see me, tell him I am away.

文頭に 〔were〕もしくは助動詞の〔had〕か〔should〕があり、文末が?(クエスチョンマーク)でなく.(ピリオド)の場合(疑問文になっていない場合)は『仮定法』のif省略(倒置)の可能性が非常に高いです!

仮定法のif節の代用について

Ifで始まる「条件節」の代わりとして、仮定や条件の意味を名詞、不定詞、現在分詞、過去分詞、副詞句、関係詞節などに含ませることができます。この場合、『仮定法過去』もしくは『仮定法過去完了』の助動詞によってその効果がもたらされます。

例えば次のような場合です。

仮定法のif節の代用

名詞でif節を代用

A true friend would not betray you. (本当の友達ならあなたを裏切ったりはしないでしょう。)

不定詞でif節を代用

To look at him at work, one would think he went mad. (彼が仕事をしているのを見れば、人は気が狂ったと思うでしょう。)

現在分詞でif節を代用

⇒The same thing, happening in a jumbo jet, would cause a panic. (同じ事でもジャンボ機内で起これば、パニックになろう。)

過去分詞でif節を代用

Born in better times, he would have succeeded. (もっと良い時代に生まれていたら、彼は成功していたでしょう。)

副詞句でif節を代用

⇒I think that picture would look better on the other wall. (その絵はもう一方の壁に掛けた方がもっと引き立つと思います。)

関係詞節でif節を代用

⇒A wife who really loved him would make concessions. (本当に彼を愛している奥さんなら、譲歩するだろうに)

上記の例から、『仮定法過去』もしくは『仮定法過去完了』の助動詞の効果により、名詞、不定詞、現在分詞、過去分詞、副詞句、関係詞節などが「~ならば」という意味を含んでいることが伺えると思います。

仮定法現在について

require(要求する)、suggest(提案する)、order(命じる)などの内容に相当する部分を考えてみると、それは元々は心の中で思ったことだといえます。心に思ったことを、要求・提案・命じるという具体的な行動に移していると考えることができます。したがって、これらの動詞の目的語となるthat節の中は、心の中で思ったことを表わす『仮定法』が用いられます

イギリス英語では『仮定法過去』が用いられ、助動詞〔shall〕の過去形である助動詞〔should(仮定法過去)〕が使われます。

例文

I propose that we should take a vote on that next week. (その件は来週票決することを提案します。)

一方、アメリカ英語では、この助動詞〔should〕が省略されます。したがって、〔should〕の後に続いていた原形の動詞が不自然に残るカタチとなります。

さて、このように、アメリカ英語で『仮定法過去』の〔should〕が省略され、原形の動詞が残った状態を『仮定法原形』とは呼ばず、『仮定法現在』と呼びます。ややこしいですね。(個人的には『仮定法原形』と呼びたい。だって動詞の原形使ってるし。。。)

ここでもう一度、仮定法の呼び方を整理すると、次のようになります。

愛すべき仮定法たち

『仮定法過去』…現在や未来に目を向け、心の中で思ったことを動詞(または助動詞)の過去形を使って表現する

『仮定法過去完了』…過去に目を向け、心の中で思ったことを過去完了形を使って表現する

『仮定法現在』…アメリカ英語で『仮定法過去』の助動詞〔should〕が省略され、原形の動詞が残ったケース

ちなみに『仮定法現在』でbe動詞を用いる場合は、 人称あるいは単数/複数に関係なく、原形の〔be〕を使うことになります。注意しておきましょう!

それでは、『仮定法現在』について例文で確認してみましょう。

例文 仮定法現在1

⑴ <仮定法過去(英)> I propose that we should take a vote on that next week.

  <仮定法現在(米)> I propose that we take a vote on that next week.

  (その件は来週票決することを提案します。)

⑵ <仮定法過去(英)> The doctor advised that she should remain in bed for a few more days.

  <仮定法現在(米)> The doctor advised that she remain in bed for a few more days.

  (医者は彼女にもう数日の間寝ていなさいと言った。)

ちなみに、このようにthat節に仮定法を用いる動詞には次のようなものがあります。

要求・提案・勧告などを表わす動詞

advice(要求) / agree(同意する) / arrange(取り決める) / ask(頼む) / command(命令する) / decide(決定する) / demand(要求する) / determine(決定する) / insist(強く要求する) / move(動議を出す) / order(命令する) / propose(提案する) / recommend(勧める) / request(頼む) / require(要求する) / suggest(提案する) / urge(強く迫る)

『仮定法現在』と〔It is + 形容詞 + that節〕構文

〔It is + 形容詞 + that節〕構文で、間接的に要求や願望を伝える形容詞necessary(必要である)、desirable(望ましい)が使われた場合、that節内は心の中で思った内容であるため、『仮定法』が用いられます。

この際も、イギリス英語では『仮定法過去』が用いられ、助動詞〔shall〕の過去形である助動詞〔should(仮定法過去)〕が使われ、アメリカ英語では『仮定法過去』の〔should〕が省略され、原形の動詞が残った状態になり、つまり『仮定法現在』と呼ばれるカタチになります。

例文で確認してみましょう。

例文 仮定法現在2

⑴ <仮定法過去(英)> It is necessary that we should be prepared for the worst.

  <仮定法現在(米)> It is necessary that we be prepared for the worst.

  (最悪の場合に対して心構えをしておく必要がある。)

⑵ <仮定法過去(英)> It is important that exceptions should not be made.

  <仮定法現在(米)> It is important that exceptions not be made.

  (例外を作らないことが大事だ。)

ちなみに、このように〔It is + 形容詞 + that節〕構文のthat節に仮定法を用いる形容詞には次のようなものがあります。

必要・重要・妥当を表わす形容詞

advisable(勧められる) / compulsory(義務的である) / crucial(必要不可欠な) / desirable(望ましい) / essential(必要不可欠な) / fair(妥当な) / imperative(必須で) / important(重要な) / necessary(必要な) / proper(適切な) / vital(不可欠な)

最後に

『仮定法過去』『仮定法過去完了』『仮定法現在』について解説しました。

『仮定法』が理解できれば、英語学習者として大きくステップアップしたといえます。

『仮定法』を身に付けることで、表現者としては表現の幅がぐっと広がり、また、英文解釈の場面では、事実が述べられているのか、心の中で思ったことが述べられているのかという2つの大事な違いが区別できるようになることでしょう!

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