時の流れに目を向けると、時は過去、現在、未来の3つで捉えることができます。

1回の動作を時の流れに照らし合わせると、動作の開始、動作の途中(進行中)、動作の完了という3つの段階を考えることができます。

英語では動詞を語形変化させたり、助動詞を用いたりすることで、現在や過去、未来といった時を表現することができ、これに加えて、開始した動作が途中(進行中)の状態であるか、完了した状態であるかについても表現することができます。

過去形について

過去形とは、動詞の活用の5つ(原形、現在形、過去形、過去分詞形、ing形)の中の一つです。

英語で動詞の過去形を用いる意図として、『時に意識を向ける場合』『非現実的な想像を述べる場合』の2通りがあります。

それぞれについて解説します。

<過去形> 時に意識を向ける場合

時の流れに目を向けると、時は過去、現在、未来の3つで捉えることができます。

現在とは、今のこの時のことです。

未来とは、これから先に訪れる時間のことです。

過去は、既に過ぎ去った時間です。

英語では動詞を語形変化させたり、助動詞を用いたりすることで、現在や過去、未来といった時を表現することができます。

現在や過去、未来という時の概念は、動詞の表す動作や状態がいつの時間のことであるかを示します。

過去形は、過去の状態や動作、過去の出来事について言い表します。過去のことであることについては、動詞を過去形にすることで示し、過去における具体的な時期や期間は副詞や副詞句によって示します。

例文で確認してみましょう。

例文 過去形

⑴ We slept very well last night. (我々は昨夜よく眠った。)

⑵ Shakespeare died in 1616. (シェイクスピアは1616年に死んだ。)

⑶ I got up later than usual and left home without having breakfast. (いつもより遅く起きたので、朝食をとらないで家を出た。)

⑷ I studied English for many years. (私は何年間も英語を勉強した。)

例文⑴~⑷では、動詞を過去形にすることによって、過去の出来事が述べられていますね。

過去形と現在完了形の違い

過去形と現在完了形の違いが分からないという声を多数耳にします。

ここで、過去形と現在完了形の違いについて、解説したいと思います。

現在完了形は過去から現在に至るまでの過去と現在の繋がりを示しますが、過去形はあくまで過去のことであり、現在とは切り離された過去を示します。

過去形と現在完了形を例文で比較してみましょう。

例文 1

⑴ I lived in Japan for 3 years. (私は日本に3年間住んでいた。)<過去形>

⑵ I have lived in Japan for 3 years. (私は日本に3年間住んで現在に至る。)<現在完了形>

過去形の例文⑴は、現在とは切り離された過去のある時点に住んでいたという単なる過去の事実を言い表しています。

現在完了形の例文⑴は、過去のある時点から現在に至るまで住んでいるという過去と現在のつながりが意識されています。

現在も住んでいることを表わす場合に現在完了形を用いるため、その対比として、過去形を用いた場合、現在は住んでいないであろうという意識が働きます。

例文 2

⑶ I lost my watch. (私は時計を失くした。) <過去形>

⑷ I have lost my watch. (私は時計を失くしたまま現在に至る。) <現在完了形>

過去形の例文⑶は、現在とは切り離された過去のある時点に失くしたという単なる過去の事実を言い表しています。

現在完了形の例文⑷は、過去のある時点から現在に至るまで失くしたままであるという過去と現在のつながりが意識されています。

現在も失くしたままであることを表わす場合に現在完了形を用いるため、その対比として、過去形を用いた場合、現在は見つかっているであろうという意識が働きます。

例文 3

⑸ We contracted them. (我々は彼らと契約した。) <過去形>

⑹ We have contracted with them. (我々は彼らと契約して現在に至る。) <現在完了形>

過去形の例文⑸は、現在とは切り離された過去のある時点に契約したという単なる過去の事実を言い表しています。

現在完了形の例文⑹は、過去のある時点から現在に至るまで契約しているという過去と現在のつながりが意識されています。

現在も契約が続いていることを表わす場合に現在完了形を用いるため、その対比として、過去形を用いた場合、現在は契約が終了しているであろうという意識が働きます。

<過去形> 非現実的な想像を述べる場合

英語では、時とは関係なく、非現実的な想像を述べる際にも過去形を用います。これを『仮定法』といいます。(ちなみに、非現実的な想像ではなく、事実について述べる場合には、現在形を用い、これは『直接法』と呼ばれます。)

『仮定法』は、現実とは反するような非現実的な想像を述べる他に、ありそうもない事柄について述べる際、実現しそうもない願望や要求について述べる際に使われます。このように種々の場面で『仮定法』が使われますが『仮定法』の共通的な感覚は、現実的ではない事柄(事実とはかけ離れた事柄)を述べているという感覚です。

例文で確認してみましょう。

例文 過去形を使う仮定法

⑴ If it were not raining, I would go fishing. (雨が降っていなければ、魚釣りに行くのだが。)

⑵ If it came to war, there might be little hope of our survival. (戦争にでもなれば、私たちが生き残れる望みはほとんどないだろう。)

⑶ I wish it were Christmas all the time. (1年中クリスマスだったらなぁ。)

例文⑴は、雨が降っているという事実があり、それに反して「雨が降っていなければ魚釣りに行く」という想像や願望を表わしています。表現者の事実に反していることを述べるという意識を、動詞を過去形にすることによって表わす『仮定法』が用いられています。

例文⑵も『仮定法』です。戦争が起こるとは全く思っていないけれども、もし「戦争になれば生き残れないだろう」という想像が述べられています。

例文⑶も『仮定法』です。非現実的な「1年中クリスマスだったらなぁ」という想像/願望が述べられています。

(『仮定法』については、下記リンクで詳しく解説しています。)

過去形の説明は以上です。次に過去進行形について説明します。

過去進行形について

過去進行形とは、動詞の活用の5つ(原形、現在形、過去形、過去分詞形、ing形)の中のing形と助動詞〔be〕の過去形を組み合わせて用いる形〔was/were + 動詞のing形〕です。

過去の進行中の動作や継続していた状態を表わす過去進行形

過去進行形は、過去のある時点において進行していた動作や継続していた状態を表わします。

例文で確認してみましょう。

例文 過去進行形

⑴ My daughter was drawing a picture when I walked into her room. (私の娘は、私が部屋に入った時、絵を描いていた。)

⑵ The girls were chattering all the time while they were on the bus. (女の子たちはバスに乗っている間ずっとおしゃべりをしていた。)

⑶ While I was taking a bath, the telephone ring. (私が風呂に入っている間に電話が鳴った。)

いずれの例文も過去に継続していた動作や状態を表わしています。

過去の習慣や反復的行為を表わす過去進行形

過去の特定の期間やalways(いつも), usually(たいてい), constantly(絶えず)などの反復を表わす副詞とともに過去進行形を用いると、過去の習慣や反復的行為を表わすことができます。

例文で確認してみましょう。

例文 過去進行形 過去の習慣や反復的行為

⑴ He was getting up at five o’clock every day that week. (彼はその週は毎日5時に起きていた。)

⑵ When I was a child, I was always running after butterflies. (子供のころ、私はいつも蝶を追いかけていた。)

⑶ She was constantly asking me to lunch and dine with her. (彼女は絶えず私に、昼食や夕食を一緒にしようと誘ってくれた。)

例文⑴は、毎日5時に起きていたという過去の習慣が述べられています。

例文⑵と⑶では、過去に繰り返し行われていた行為が述べられています。

過去の予定や計画を表わす過去進行形

過去に予定していたことや計画していたことを過去進行形で言い表すことができます。

過去進行形の過去進行中という状態は、過去のある時点で始めた何かが終わりを迎えるまでの途中の状態であると考えることができます。

これを予定や計画に当てはめると、予定や計画の過去進行中とは、過去のある時点で予定や計画を立て、それらが実行されるまでの間(途中)の段階であったと考えることができます。

このような感覚で、過去のある時点でまだ実行されていなかった予定や計画については、過去進行形を使って言い表すことができるのです。

例文で確認してみましょう。

例文 過去進行形 過去の予定や計画

⑴ He was busy packing, for he was leaving that night. (彼は荷造りで忙しかった。その夜出発する予定だったから。)

⑵ I left home at six : I was meeting John at six-thirty. (私は6時に家を出た。ジョンに6時半に会う予定だった。)

⑶ The Prime Minister said he was holding a press conference the following day. (総理は翌日記者会見をするつもりだと言った。)

いずれの例文からも過去の予定や計画を表わしていることが伺えます。

過去進行形についての説明は以上です。次からは過去完了形について説明します。

過去完了形について

過去完了形とは、動詞の活用の5つ(原形、現在形、過去形、過去分詞形、ing形)の中の過去分詞形と助動詞〔have〕の過去形を組み合わせて用いる形〔had + 動詞の過去分詞形〕です。

過去完了形は、遠い過去に起こったことの影響が近い過去まで及んでいることを表わし、遠い過去と近い過去に繋がりを与えることを目的としています。

過去完了形には4つの用法があります。完了用法、結果用法、継続用法、経験用法です。

それぞれについてくわしく解説していきます。

過去完了形の完了用法

完了用法とは、遠い過去の時点で始めた動作が、近い過去の時点で完了していたことを表わします。完了用法は、just(ちょうど)やalready(すでに)『瞬間』』や『完了』を表わす副詞とともに用いられることが多いです。

例文を確認してみましょう。

例文 <過去完了形 - 完了用法>

⑴ It had already got dark when we reached Paris. (パリに着いた時すでに暗くなっていた。)

⑵ They raved about the movie they had just seen. (彼らは見終えたばかりの映画をほめちぎった。).

過去完了形の結果用法

結果用法とは、遠い過去の時点の状態や完了した動作の結果の影響が近い過去の時点まで及んでいたことを表わします。

例文を確認してみましょう。

例文 <過去完了形 - 結果用法>

⑴ When the conductor began to check up tickets, I found I had lost my ticket. (車掌が切符の確認を始めた時、私は切符を失くしていたことに気付いた。)

⑵ His father had gone to office when he got up. (彼が起きた時には父は会社に出かけていなかった。)

過去完了形の継続用法

継続用法とは、遠い過去の時点で開始した動作や状態がそのまま近い過去まで及んでいたことを表わします。継続用法は、for(~の間)などの『期間』を表わす副詞とともに用いられることが多いです。

例文を確認してみましょう。

例文 <過去完了形 - 継続用法>

⑴ She had lived with us for two years before she got married. (彼女は結婚までの2年間、私たちと一緒に暮らしていた。)

⑵ He had been sick in bed for a week when I visited him. (私が尋ねた時、彼は病気で1週間寝込んでいた。)

過去完了形の経験用法

経験用法とは、遠い過去の時点から近い過去に至るまでに経験したことについて表わします。経験用法は、never(1度もない)、before(~の前に), often(しばしば), once(1度)や~times(~回)といった『時点』や『回数』を表わす副詞とともに用いられることが多いです。

例文を確認してみましょう。

例文 <過去完了形 - 経験用法>

⑴ He had read through the Bible twice before he was twelve. (彼は12歳以前に聖書を2回読み通していた。)

⑵ He had never seen a crocodile until he went to Africa. (彼はアフリカに行くまで一度もワニを見たことがなかった。)

⑶ I had often heard about him before I first met him. (彼に初めて会う前から、うわさは何度も耳にしていた。)

過去完了形の4つの用法(完了用法、結果用法、継続用法、経験用法)の説明は以上です。次に現在完了の『大過去』という用法を説明します。

大過去を表わす過去完了形

2つの過去の出来事について述べる場合、一方が他方よりも更に前の過去であることを明確にするために、それを過去完了形で表します。過去完了形で表す古い方の過去は、大過去と呼びます。

例文を確認してみましょう。

例文 過去完了形 大過去

⑴ The translation was more difficult than I had thought. (その翻訳は私が思っていた以上に難しかった。)

⑵ The girl who had promised to baby-sit for them was too ill to do so. (彼らのために子守りを約束した女の子は、病気が重くてそれを行えなかった。)

例文⑴は、翻訳を予想したときのことが過去完了形で述べられていて、翻訳を行った時点よりも翻訳の難易度を予想した時点が古い過去であることが分かります。

例文⑵は、子守りを約束したときのことが過去完了形で述べられていて、病気で子守りを断念した時点よりも子守りを約束した時点が古い過去であることが分かります。

大過去の説明は以上です。次は『仮定法過去完了』について解説します。

『仮定法過去完了』過去の時を表わす過去完了形

過去形の『仮定法』の説明のところで、英語では、非現実的な想像を述べる際に過去形を用いることを説明しました。

また、『仮定法』は、現実とは反するような非現実的な想像を述べる他に、ありそうもない事柄について述べる際や、実現しそうもない願望や要求について述べる際に使われると説明しました。

動詞を過去形にして表わす仮定法は『仮定法過去』と呼びます。『仮定法過去』は現在のことに目を向けて現実的ではない想像や願望を表わします。つまり、現在のことに目を向けて、現実的ではない想像や願望を表わす意図で動詞を過去形にすることを『仮定法過去』といいます。『仮定法過去』の表わす『過去』は時としての過去ではなく、動詞を過去形にして表現することを指します。

それでは、過去のことに目を向けて過去の事実に反する想像や願望を表わす場合はどうすればよいのでしょう。この場合は、過去完了形を用います。。過去完了形で表わす仮定法は『仮定法過去完了』と呼びます。『仮定法過去完了』は過去のことに目を向けて過去の事実に反する想像、願望や後悔を表わします。『仮定法過去完了』の表わす『過去完了』は過去完了形を使って表現することを指します。

それでは、過去のことに目を向けて過去の事実に反する想像、願望や後悔を表わす『仮定法過去完了』について、例文で確認してみましょう。

例文 過去完了形 仮定法過去完了

⑴ If they had left a little earlier, they would have avoided the heavy traffic. (もう少し早く出かけていたら、彼らは交通渋滞を避けられただろう。)

⑵ If you had not eaten so much, you would not be so sleepy now. (あんなにたくさん食べなかったら、今ごろこんなに眠くなることもないのに。)

⑶ I wish I had not said such rude things to him. (彼にあんな失礼なことを言わなければよかった。)

例文⑴は、過去を振り返って、「もう少し早く出かけていたら」という後悔が述べられています。表現者が過去の事実とは異なる状況について語っているという意識を、過去完了形を用いることで表わす『仮定法過去完了』が使われています。

例文⑵も『仮定法過去完了』です。たくさん食べたという過去の事実に対し、『あんなにたくさん食べなかったら』という過去の事実とは異なる状況について述べているという意識が過去完了形を用いることで表わされています。

例文⑶も『仮定法過去完了』です。彼に失礼なことを言ってしまったという過去の事実に対し、『あんな失礼なこと言わなければ』という過去の事実とは異なる状況を語るという意識が過去完了形を用いることで表わされています。

(『仮定法過去完了』については、下記で詳しく説明しております。)

次に過去完了進行形について説明します。

過去完了進行形について

過去完了進行形とは、動詞の活用の5つ(原形、現在形、過去形、過去分詞形、ing形)の中のing形と助動詞〔have〕の過去形と助動詞〔be〕の過去分詞形を組み合わせて用いる形〔had + been + 動詞のing形〕です。

過去完了進行形は、過去完了形と同じで、遠い過去に起こったことの影響が近い過去まで及んでいることを表わします。過去完了進行形には、継続用法しかありません。

継続用法は、遠い過去の時点で開始した動作や状態が近い過去まで継続していたことを表わします。

過去完了形の継続用法と意味機能的には同じですが、表現としては過去完了進行形の方が動作の臨場感を与え、いきいきとした印象になります。

例文を確認してみましょう。

例文 過去完了進行形

⑴ The boy had been holding on to a little piece of wood when he was rescued. (その少年は救助された時、小さな木片にしがみついていた。)

⑵ I had been staying in London before I came back to Japan. (私は日本に帰る前はロンドンに滞在していた。)

⑶ John had been working at that company for five years when it went out of business. (ジョンはその会社が廃業するまで5年間働いていた。)

例文⑴は、過去の救助された時点において、少年が小さな木片にしがみついている状態であったことが臨場感を伴なって述べられています。

例文⑵は、日本に帰る直前までロンドンに滞在していたという状態の継続が述べられています。

例文⑶は、会社が廃業する直前まで5年間その会社に継続して働いていたことが述べられています。

過去形、過去進行形、過去完了形、過去完了進行形の説明は以上になります。

最後に

冒頭で説明したように、英語では動詞を語形変化させたり、助動詞を用いたりすることで、現在や過去、未来といった時を表現することができ、これに加えて、開始した動作が途中(進行中)の状態であるか、完了した状態であるかについても表現できることが理解できたかと思います。

さらに、現在や過去の事実に反する想像や願望、後悔などを述べる際にも動詞の語形変化させたり、助動詞を用いることが理解できたかと思います。

英語を機械的に日本語に訳すのではなく、助動詞と動詞の語形変化のこのような狙いを認識して英語に触れることで、それぞれの表現が使われる場面を意識でき、実践的な英語を理解する力を身に付けることができるようになります。英語話者の言語使用感覚が身に付くまで訓練を重ねましょう!

合わせて読みたい

関連記事
インターネットで勉強できるサイトを作りました!

こんにちは。当サイトの管理人です。

質の悪い学習参考書や学習Webサイトがたくさん世の中に溢れていてうんざりしてます。

世の中が少しでも良くなるようインターネット上で質の高い学習ができる「マーてぃん学校」というWebサイトを作りました!

「マーてぃん学校」のサイトでは、当サイトの内容を含めた様々な教科が各単元ごとにまとめられており、学びたい内容に簡単にアクセスできるサイトになっております。

受験勉強を頑張る皆さま、ぜひとも「マーてぃん学校」をご活用ください。

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事