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動詞の文型は5つあります。
動詞の5文型は覚えるべき!?
そもそも、動詞の5文型は英語を理解する上で、覚えなければならないのでしょうか!?覚える必要はないのでしょうか。
この問いの正解は、覚える必要がある!です。
英語の初級者にとって、動詞の文型とは、試験でこの文は第何文型ですか?と聞かれることもほとんどありませんし、英文を読む際に特に重要であるともあまり思えません。
けれども、動詞の文型は大切です。
なぜなら、動詞の文型とは動詞の取扱説明書(ルールブック)なのです。
例えば、スポーツのラグビーをする際、ルールを知らなければ、試合に参加しても全然活躍できませんし、怪我をする危険もあり、非常に危険です。英文解釈の場合もこれと同様で、動詞を中心とした文のカタチのルールを知らないと、活躍できませんし、怪我をする恐れがあります。
さて、動詞の文型を覚えることが、英文解釈に有効である具体的な理由は以下です。
1.動詞の意味を特定できる。
2.語の並べ方(語順)のルールを理解できる。
1.動詞の意味を特定できる の解説
たいていの動詞はひとつの意味だけではなく、複数の意味を持っています。そしてそれらの意味は、使用される文型に支配されます。
例えば、動詞〔leave〕の場合、次のようになります。
〔leave〕 = 出発する
He left for Japan yesterday. (彼はきのう日本に向けて出発した)
動詞の〔leave〕が第1文型で使われた場合、「出発する」という意味になります。例文では、S(主語)が〔He〕でV(動詞)が〔leave〕です。〔for Japan〕は副詞句、〔yesterday〕は副詞でいずれも修飾要素となりますので、この2つは基本文型の主要構成要素にはなりません。
したがって、こちらの文の主要構成要素はS(主語)とV(動詞)のみなので、第1文型になります。ちなみに、〔for Japan〕の副詞句と〔yesterday〕の副詞はいずれも動詞の〔leave〕を修飾(説明)し、「きのう日本に向けて出発する」として結ばれます。
〔leave〕 = ~を置き忘れる
I left my bag in the train. (私は鞄を電車の中に置き忘れた。)
動詞の〔leave〕が第3文型で使われた場合、「~を置き忘れる」という意味になります。例文では、S(主語)が〔I〕でV(動詞)が〔leave〕、〔my bag〕がO(目的語)です。〔in the train〕は副詞句で修飾要素となりますので、基本文型の主要構成要素にはなりません。
したがって、こちらの文の主要構成要素はS(主語)とV(動詞)、O(目的語)なので、第3文型になります。ちなみに、〔in the train〕の副詞句は動詞の〔leave〕を修飾(説明)し、「電車の中に置き忘れる」として結ばれます。
〔leave〕 = ~に~を残す
He left his daughter a fortune. (彼は娘に財産を残した。)
動詞の〔leave〕が第4文型で使われた場合、「~に~を残す」という意味になります。例文では、S(主語)が〔He〕でV(動詞)が〔leave〕、〔his daughter〕がIO(間接目的語)、〔a fortune〕がDO(直接目的語)です。こちらの文の主要構成要素はS(主語)とV(動詞)、IO(間接目的語)、DO(直接目的語)なので、第4文型になります。
〔leave〕 = ~を~の状態にしておく
He often leaves his room untidy.(彼はよく部屋を散らかしたままにしている。)
動詞の〔leave〕が第5文型で使われた場合、「~を~の状態にしておく」という意味になります。例文では、S(主語)が〔He〕でV(動詞)が〔leave〕、〔his room〕がO(目的語)、〔untidy〕がC(補語)です。〔often〕は副詞で修飾要素となりますので、基本文型の主要構成要素にはなりません。
したがって、こちらの文の主要構成要素はS(主語)とV(動詞)、O(目的語)、C(補語)なので、第5文型になります。ちなみに、〔often〕の副詞は動詞の〔leave〕を修飾(説明)し、「よく(しばしば)~を~の状態にしておく」として結ばれます。
以上のように、動詞が用いられる文型と動詞の意味とのつながりが理解できていれば、動詞の和訳を間違うことが少なくなります。
2.語の並べ方(語順)のルールを理解できる の解説
日本語には便利な助詞(~が、~は、~に、~で等)があり、助詞によって文の中における単語の役割を変化させるので、ふつう日本人はあまり語順(単語の並べ方)に気を配りませんが、英語の場合は語順(語の並べ方)によって文中での単語の役割が変化します。例えば、
⑴ 祖父が 私に 時計を くれた。(〇)
⑵ 祖父が 時計を 私に くれた。(〇)
⑶ My grandfather gave me a watch.(祖父が私に時計をくれた。)(〇)
⑷ My grandfather gave a watch me.(祖父が時計に私をくれた。)(×)
上記の例のように、日本語では〔時計を〕と〔私に〕の語順はどちらが先でも構いませんが、英語の場合は、『誰に』に当たる人物を先にして、『何を』に当たる物を後に置かなければならないというルールがあります。
動詞〔give〕を第4文型で用いた場合、「間接目的語IO(=動作の影響を間接的に受ける語)」と「直接目的語DO(=動作の影響を直接的に受ける語)」の語順は必ず、〔give〕の後にIOを置き、そのIOの後にDOを置くという順番でなければならないのです。
このようにして、動詞を中心として、その他の単語をどのように並べたらよいかというルールを示したものが動詞の5文型です。
さて、以上までの説明のように英文の理解にとても重要な役割を果たす動詞の文型ですが、その種類は全部でたった5つしかありません。覚えるのに苦労はほとんどないと言ってもよいでしょう。
動詞の文型は、単純に暗記しても苦労は少ないのですが、この動詞の文型をサッカーに例えると、非常に分かりやすいのです。以下で詳しく説明します。
動詞の5文型をサッカーに例える
あるところに、「動詞の文型」という、サッカーチームがあります。このサッカーチームの所属選手は、S選手、V選手、C選手、O選手、IO選手、DO選手の6名です。
そして、サッカーチーム「動詞の文型」の戦術は5つあります。
戦術と、ポジション、選手の関係は次のようになります。
FWは常にS選手で、MFは常にV選手です。DFとGKのみ、戦術によって変わります。
戦術4の場合、GK(ゴールキーパー)はDO(=直接目的語)選手です。ゴールを直接守るので、直接目的語がこの位置に入ると覚えましょう!また、DF(ディフェンダー)は間接的にゴールを守るので、この位置にIO(=間接目的語)選手が入ると覚えましょう!
ところで、V(動詞)選手はこのサッカーチームのエースです。エースなので、どの戦術でも起用されています。そして、このエース(V選手)の活躍ぶりは、戦術に依存します。例えば、戦術1であれば、守備の面で活躍するし、戦術5では攻撃の面で活躍するといった具合です。
この「V選手の活躍ぶり」を「動詞Vの意味」に、「戦術」を「動詞の文型」に置き換えると、「V選手の活躍ぶりは戦術に依存する」はつまり、「動詞の意味は動詞の文型に依存する」となります。つまり、「動詞の意味」は「どの文型として用いられるか」かによって変わるのです。
以上、サッカーを例にして、動詞の意味が用いられる文型によって変化することが確認できました。
全ての動詞が5つ全ての文型を採用できるわけではない
その他、覚えておきたいこととして、動詞(V選手)が採用できる文型(戦術)は、動詞それぞれによって異なります。
例えば、V選手が動詞の〔eat〕であった場合、戦術は1と3(第1文型と第3文型)しか選択できません。
V選手が動詞の〔give〕であった場合、戦術は1と3と4(第1文型と第3文型と第5文型)しか選択できません。
V選手が動詞の〔get〕であった場合、5つすべての戦術(5つすべての文型)が選択可能です。
つまり、5つ戦術(=文型)の内、選択可能な戦術は、エースの特性(動詞の種類)に依存しているといってよいでしょう。
5つの文型の内、動詞が採用できる文型は、動詞によってさまざまであり、すべての動詞が5つの文型の全てを採用できるわけではない!ということを頭に入れておきましょう。