助動詞は表現者の気持ちや態度、認識、思考などを表わすのに用いられます。
したがって、確実に自分を表現したり、確実に相手の表現を受け止めたりするには助動詞の語感を身に付けることが非常に大切となります。
英語の助動詞には「can / could / may / might / must / will / would / shall / should / need / dare / have to / ought to / used to」等があります。
これらの助動詞全ての語感(使用場面)を見に付けることができれば、表現や受容の幅が各段に広がることは間違いないでしょう。
さて、今回は助動詞の「should」について詳しく解説を行いたいと思います。
「should」は「~すべき」という和訳で覚えている方が多いと思いますが、「should」には「~すべき」以外にもいくつかの用法・意味機能があります。また、「should」は仮定のことを言い表すときに使われることもあるので、このあたりもしっかりと把握しておきたいところです。
それでは、助動詞「should」について学んでいきましょう。
助動詞「should」は12のキーワードでほぼ完全な理解が可能です。
助動詞「should」の12のキーワード
助動詞「should」の12のキーワードは以下のとおりです。
1.助言・見解の「should」
2.規則の「should」
3.禁止の「should」
4.予想の「should」
5.噂に対する評価の「should」
6.感情強調の「should」
7.控え目の「should」
8.万一の「should」
9.要求・提案・命令の「should」
10.非難・後悔の「should」
11.過去への想像の「should」
12.期待外れの「should」
それでは、それぞれのキーワードについて掘り下げていきます。
1.助言・見解の「should」
助動詞「should」の最も代表的な用法は助言・見解です。和訳は「~すべきだ」となります。他者に対して何か助言をする場合、或いは、自分や他者が置かれた立場や状況において望ましい行動を求める場合に「should」が使われます。
早速例文で確認してみましょう。
⑴ I don’t know how I should behave at the party. (私はパーティーでどのようにふるまうべきか分からない。)
⑵ At least you should listen to his explanation. (君は少なくとも彼の説明を聞くべきだ。)
⑶ Not less than two hours a day should be spent on exercise. (1日に少なくとも2時間は運動に当てるべきだ。)
例文⑴は、パーティーにおいてどのようにふるまえば望ましいか(見解)が分からない「should」を使って表現しています。
例文⑵は、彼の説明を聞くべきだという助言・見解を「should」を使って表現しています。
例文⑶は、1日あたり運動に費やすのに望ましい時間に関する助言・見解を「should」を使って表現しています。
2.規則の「should」
ルールや規則に従うことが求められている場合に「should」が使われることがあります。和訳は「~しなければならない」となります。
早速例文で確認してみましょう。
⑴ Passengers should check in at least 30 minutes before departure. (乗客は遅くとも出発30分前には搭乗手続きをしなければならない。)
⑵ The wall should be 10 yards away from the kicker. (壁はキッカーから10ヤード離れなければならない。)
⑶ All applicants should be at least 16 years of age at the commencement of this course. (申込者は、過程の開始時に16歳に達していなければならない。)
例文⑴は、搭乗手続きの時間に関する規則が「should」で表現されています。
例文⑵は、スポーツにおけるキッカーと壁の距離に関するルールが「should」で表現されています。
例文⑶は、申込者の年齢に関わる規定が「should」で表現されています。
3.禁止の「should」
ある行為を禁止する場合に助動詞「should」と副詞の「not」が一緒に使われます。和訳は「~してはいけない」となります。
早速例文で確認してみましょう。
⑴ You shouldn’t let your friends into the house without my permission. (私の許可なしに友達を家にあげてはいけない。)
⑵ The rule is that you should not smoke here. (ここではたばこを吸ってはいけない規則になっています。)
⑶ You should not run around in the classroom. (教室の中を走り回ってはいけない。)
例文⑴は、「should」と「not」を用いて、許可なしで友達を家にあげることを禁止しています。
例文⑵は、「should」と「not」を用いて、ここでたばこを吸うことを禁止しています。
例文⑶は、「should」と「not」を用いて、教室の中で走り回ることを禁止にしています。
4.予想の「should」
主観的な判断に基づいて、事の成り行きや状況を予想して述べる際に「should」が使われます。和訳は「~はずだ」となります。
早速例文で確認してみましょう。
⑴ He should be at home. (彼は家にいるはずだ。)
⑵ As you’re so clever, you should know all the answers. (君は頭が良いので、答えをみんな知っているはずだ。)
⑶ If we leave now, we should arrive there by noon. (今出発すれば、我々は昼までにそこへ着くはずだ。)
例文⑴は、彼が家にいるはずだという予想を「should」を使って述べています。
例文⑵は、君は答えを全て知っているはずという予想を「should」を使って述べています。
例文⑶は、昼までにそこへ着くはずだという予想を「should」を使って述べています。
5.噂に対する評価の「should」
「It is + 評価を表わす語 + that + S(主語) + should ~」の形で、事実だという確信にまでは至らない事柄に対して話し手が頭の中で下した評価を述べる際に「should」が使われます。和訳は「~としたら」となります。事実に対する評価を述べる場合にはこの「should」は省かれます。
早速例文で確認してみましょう。
⑴ It is strange that he should readily accept such a job. (彼がそんな仕事を躊躇せずに引き受けるとしたらそれは不思議だ。)
⑵ It is a good thing that Congress should have a chance to discuss the approaching war. (近づきつつある戦争について国会が議論する機会を持つとしたらそれは良いことだ。)
例文⑴は、「should」を用いて、彼がそんな仕事を躊躇せずに引き受けたという噂に対する評価が述べられています。
例文⑵は、「should」を用いて、国会が戦争について議論する機会を持つという噂に対する評価が述べられています。
6.感情強調の「should」
「It is + 感情を表わす語 + that + S(主語) + should ~」の形で、心の中で感じた感情を強調する際に「should」が使われます。和訳は「~するとは、~するなんて」となります。特に感情を強調せずに事実のみを伝えたい場合にはこの「should」は省かれます。
早速例文で確認してみましょう。
⑴ It is strange that John is late for school. (ジョンが学校に来ないのは変だ。) ⇒ It is strange that John should be late for school. (ジョンが学校来ないなんて変だ。)
⑵ It is a pity that we are able to do nothing for her. (私どもが彼女の為に何もしてあげられないのは残念だ。) ⇒It is a pity that we should be able to do nothing for her. (私どもが彼女の為に何もしてあげられないなんて残念だ。)
⑶ It is a pity that he has contempt for the homeless. (彼がホームレスの人たちを軽蔑しているのは残念だ。) ⇒ It is a pity that he should have contempt for the homeless. (彼がホームレスの人たちを軽蔑しているとは残念だ。)
例文⑴は、「should」を用いて、ジョンが学校に来ない状況を不思議に思う気持ちに感情が込められています。
例文⑵は、「should」を用いて、彼女のために何もしてあげられないという残念な気持ちに感情が込められています。
例文⑶は、「should」を用いて、ホームレスを軽蔑する彼の態度を残念がる気持ちに感情が込められています。
噂に対する評価の「should」と感情の「should」の共通性について
噂に対する評価の「should」と感情の「should」を表わす語はある程度共通していて、次のようなものがあります。
absurd(ばかげた) / appropriate(適切な) / awful(ひどい) / curious(奇妙な) / dreadful(ひどい) / extraordinary(驚くべき) / good(良い) / fortunate(幸運な) / logical(理にかなった) / natural(当然な) / odd(おかしい) / queer(奇妙な) / regrettable(惜しむべき) / ridiculous(滑稽な) / strange(不思議な) / unfortunate(不運な) / alarming(驚くべき) / amazing(驚くべき) / astonishing(驚くべき) / disappointing(失望させる) / frightening(恐ろしい) / shocking(衝撃的な) / surprising(驚くべき) / a pity(残念) / a shame(恥) 等
噂に対する評価の「should」と感情の「should」は文としてのカタチが同じなので、状況に応じて望ましいと思う方で解釈すれば良いです。
7.控え目の「should」
控え目の「should」は主にイギリス英語で使われます。動詞のsay, think imagine, supposeと一緒に用いられることが多いです。「should」を使うことで、物腰柔らかく控え目に発言している印象を与えます。和訳は「~かな」「~だと思う」「恐らく~だろう」と訳せばよいです。ちなみに、アメリカ英語では控え目の表現をする際、「should」ではなく「would」がよく使われます。
早速例文で確認してみましょう。
⑴ I should say she’s over forty. (彼女は40歳を越えているかな。)
⑵ He is a genius, I should say. (彼は天才だと、言えると思う。)
⑶ I should think she would be eager to attend. (恐らく彼女は喜んで出席するだろうと思います。)
例文⑴は、「should」を使って、年齢の予想を控え目に発言しています。
例文⑵は、「should」を使って、人の特徴について控え目に発言しています。
例文⑶は、「should」を使って、自分以外の人の気持ちや行動に対する予想を控え目に述べています。
8.万一の「should」
「should」は接続詞〔If〕と共に用いると、「万一~であれば」という意味になります。If節の内容に対し、そうなる可能性は少ないと思っているけれども、万一そうなるのであればという認識が含まれます。
早速例文で確認してみましょう。
⑴ If I should fail, I would try again. (万一失敗しても、またやるつもりです。)
⑵ If anyone should come to see me, please tell him I will be back soon. (万一誰かが私を訪ねてきたら、じきに戻ると伝えてください。)
例文⑴は、失敗する可能性は低いという思いが「should」に込められています。
例文⑵は、私を誰かが訪ねてくる可能性は低いという予想が「should」で表現されています。
9.要求・提案・命令の「should」
要求・提案・命令の「should」は主にイギリス英語で使われます。動詞のrequire(要求する)、suggest(提案する)、order(命じる)などの目的語になるthat節内では「should」が用いられます。
これは仮定法過去といって、心の中で思ったこと、頭の中で考えたことを述べる仮定法としての扱いで助動詞「shall」の過去形の「should」が用いられています。要求する、提案するまたは命じる際のその内容は、心の中や頭で考えた事に過ぎずまだ実現されていないため、that節の中は通常仮定法で表現されます。
要求・提案・命令の「should」は仮定法ということ表わすためだけに存在しているので、特に訳す必要はありません。
早速例文で確認してみましょう。
⑴ I propose that we should take a vote on that next week. (その件は来週票決することを提案します。)
⑵ The doctor advised that she should remain in bed for a few more days. (医者は彼女にもう数日の間寝ていなさいと忠告した。)
⑶ His proposal that we should let the matter drop was accepted by everyone. (その件はやめにしようという彼の提案がみんなの賛成を得た。)
例文⑴~⑶の要求・提案・命令の「should」はいずれも仮定法過去の「should」です。
仮定法に関する詳細は、下記リンク先で詳しく説明してます。是非チェックしてみてください。
「should + have + 動詞の過去分詞」について
過去の出来事について助動詞「should」を用いる場合、「should」の後は動詞の過去形を置くのではなく、完了形(have + 動詞の過去分詞形)を置きます。つまり、「should + have + 動詞の過去分詞形」というカタチになります。
例えば、噂に対する評価の「should」が過去の出来事について使われた場合、「It is + 評価を表わす語 + that + S(主語) + should + have +動詞の過去分詞形 ~」となります。
例文を見てみましょう。
It is strange that he should have readily accepted such a job. (彼がそんな仕事を躊躇せずに引き受けたとしたらそれは不思議だ。)
また、感情強調の「should」が過去の出来事について使われた場合、「It is + 感情を表わす語 + that + S(主語) + should + have +動詞の過去分詞形 ~」となります。
例文を見てみましょう。
It is a pity that the trip should have been canceled. (旅行が取消になったとは残念だ。)
過去の出来事について助動詞「should」を用いる場合、噂に対する評価や感情強調以外にも、さらに3つの「should」の用法があります。
10.非難・後悔の「should」 〔和訳〕~すべきだった
11.過去への想像の「should」 〔和訳〕~したはずだ
12.期待外れの「should」 〔和訳〕~するはずだった(が、しなかった)
さて、この3つの和訳は、それぞれ意味が全く異なり、「should」の使い方をマスターしていない人にとって、どの用法が使用されているかを見分けるのは簡単ではありません。
したがって、ここでまず始めに、3つの用法の見分け方のコツについて説明し、その後、実際の例文で確認してみる事にしましょう。
過去の出来事に対する「should」の3用法
・「~すべきだった」と訳される非難・後悔の「should」については、何かをしなかったという事実に対し「~すべきだった」と非難や後悔を述べることになります。このように事実が前提となっていることが見分け方のポイントです。
・「~したはずだ」と訳される過去の想像の「should」については、ある条件が整っていれば「~したはずだ」というように条件を前提として予想を述べることが多いです。したがって、文の中に条件や理由を提示している部分が存在するかどうかを確認することが見分けのポイントです。例えば、条件を示す接続詞「if」が使われている場合は、過去への想像の「should」だと判断して良いでしょう。
・「~するはずだった(が、しなかった)」と訳される期待外れの「should」については、予想していたことに反してそうならなかったという場面で使われるので、逆接の接続詞「but」と共に用いられる場合がほとんどです。つまり、逆接の接続詞「but」が文中に存在するかどうかを確認することが見分けるポイントになります。
さて、過去の出来事に使われる「should」の3つの用法の見分け方が分かりましたので、早速例文で見分けることに挑戦してみましょう。
例文で3用法の見極めに挑戦!
⑴ If he had given up, I should have, either.
例文⑴に、3つの用法のそれぞれの和訳を当てはめると、次のようになります。
①(非難・後悔) もし彼があきらめていれば、私もそうすべきだった。
②(過去への想像) もし彼があきらめていれば、私もそうしたはずだ。
③(期待外れ) もし彼があきらめていれば、私もそうするはずだった。
【解説】②が正解です。文の中で条件を表わす接続詞「if」が使われていて、意味的にも②の和訳が自然です。 ①は仮の話がベースになっているので、事実に対して「そうすべきだった」と述べる非難・後悔の「should」はここではふさわしくありません。③の文は、期待外れ感ではなく「~するつもりだった」という計画を述べるような意味合いになってしまっているので、ふさわしくないです。
⑵ The patient should have recovered, but he didn’t.
例文⑵に、3つの用法のそれぞれの和訳を当てはめると、次のようになります。
①(非難・後悔) その患者は回復すべきだったのに、しなかった。
②(過去への想像) その患者は回復したはずだったのに、しなかった。
③(期待外れ) その患者は回復するはずだったのに、しなかった。
【解説】和訳を比べてみると、③が妥当です。文の中で逆接の接続詞「but」が使われていて、意味的にも③の和訳が自然です。①は回復しない患者を非難するようで、倫理的に不自然です。②は記憶喪失の人の発言のように不自然な内容になってます。
⑶ You should have submitted your application by the end of January.
例文⑶に、3つの用法のそれぞれの和訳を当てはめると、次のようになります。
①(非難・後悔) あなたは願書を1月末までに提出すべきだった。
②(過去への想像) あなたは願書を1月末までに提出したはずだ。
③(期待外れ) あなたは願書を1月末までに提出するはずだったのに。
【解説】正解は①です。意味的には②でも③でも良さそうですが、条件の提示がなく、逆接の「but」も存在しないので、ここでは①の意味で捉えるのが最も妥当です。
⑷ Mary should have come back by now, but she's been delayed.
例文⑷に、3つの用法のそれぞれの和訳を当てはめると、次のようになります。
①(非難・後悔) メアリーはもう戻ってくるべきだが、遅れている。
②(過去への想像) メアリーはもう戻ってきたはずだが、遅れている。
③(期待外れ) メアリーはもう戻ってくるはずだが、遅れている。
【解説】正解は③です。接続詞「but」の存在が決め手です。意味も整っています。①は、③とほぼ同じような内容になっていて、こちらで解釈してもよさそうです。②は意味的に前後の流れが不自然です。
⑸ John should have passed the test since he was studying hard.
例文⑸に、3つの用法のそれぞれの和訳を当てはめると、次のようになります。
①(非難・後悔) ジョンは一生懸命勉強していたから試験には合格すべきだ。
②(過去への想像) ジョンは一生懸命勉強していたから試験には合格したはずだ。
③(期待外れ) ジョンは一生懸命勉強していたから試験には合格するはずだったのに。
【解説】正解は②です。「since~」で理由が述べられているので②が妥当です。①も②も意味的には特に不自然さがないので、このような場合、意味以外の部分に注目する、あるいは前後に他の文があればその文の内容から判別せざるを得ないです。
⑹ I know you're busy, but even so you should have met the deadline.
例文⑹に、3つの用法のそれぞれの和訳を当てはめると、次のようになります。
①(非難・後悔) あなたが忙しいのは分かっているが、たとえそうでも、期限は守るべきだった。
②(過去への想像) あなたが忙しいのは分かっているが、たとえそうでも、期限は守ったはずだった。
③(期待外れ) あなたが忙しいのは分かっているが、たとえそうでも、期限は守るはずだったのに。
【解説】①が正解です。「あなたが忙しいのはわかっているが、たとえそうでも、」という部分にピッタリ当てはまるのは①になります。
まとめ
それでは、学んだことをおさらいしましょう。
助動詞「should」には12のキーワードに基づいた意味機能がありました。
1.助言・見解の「should」 〔和訳〕~すべきだ
2.規則の「should」 〔和訳〕~しなければならない
3.禁止の「should」 〔和訳〕~してはいけない
4.予想の「should」 〔和訳〕~はずだ
5.噂に対する評価の「should」 〔和訳〕~としたら
6.感情強調の「should」 〔和訳〕~なんて、~とは
7.控え目の「should」 〔和訳〕~かな
8.万一の「should」 〔和訳〕万一~であれば、
9.要求・提案・命令の「should」 〔和訳〕特に訳さない (仮定法の目印として使われる)
10.非難・後悔の「should」 〔和訳〕~すべきだった
11.過去への想像の「should」 〔和訳〕~したはずだ
12.期待外れの「should」 〔和訳〕~するはずだった
以上で、助動詞「should」の語感がしっかり身に付けられたかと思います。