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時の流れに目を向けると、時は過去、現在、未来の3つで捉えることができます。
1回の動作を時の流れに照らし合わせると、動作の開始、動作の途中(進行中)、動作の完了という3つの段階を考えることができます。
英語では動詞を語形変化させたり、助動詞を用いたりすることで、現在や過去、未来といった時を表現することができ、これに加えて、開始した動作が途中(進行中)の状態であるか、完了した状態であるかについても表現することができます。
未来について
動詞の語形変化には、現在形と過去形はありますが、未来形というのは存在しません。
したがって、未来のことを表現するために助動詞の力を借りる必要があります。
未来を表現する際に使う助動詞は〔will〕です。
助動詞〔will〕の用法には、単純未来、意思未来、推量等の用法があります。このうち、純粋な未来を表現するのは単純未来の用法になります。
〔単純未来〕I will be 30 next Sunday. (私は今度の日曜日で30歳になります。)
〔意思未来〕If he doesn’t take back what he said, I’ll never speak to him again. (もし彼が前言を取り消さなければ、もう絶対に彼とは口を聞かないつもりだ。)
〔推量〕This’ll be the pin you’re looking for. (これがお捜しのピンでしょう。)
単純未来の用法は、話者や主語の意志に関係なく、未来に起こると予測される事柄を表わします。
意思未来の用法は、話者や主語の意志によって導かれる未来の動作や行動についてを表わします。
推量の用法は、単純未来の〔will〕が拡張された用法で、現在の時点での推量を表わす。つまり、単純未来の「未来の予測」を現在の事柄に当てはめて「推量」としたものです。
次に未来進行形について説明します。
未来進行形について
未来進行形とは、動詞の活用の5つ(原形、現在形、過去形、過去分詞形、ing形)の中のing形と助動詞〔will, be〕を組み合わせて用いる形〔will + be + 動詞のing形〕です。
未来の進行中の動作や継続中の状態を表わす未来進行形
未来進行形は、未来のある時点において進行中の動作や継続している状態を表わします。
例文で確認してみましょう。
⑴ At this time tomorrow we’ll be sailing the Caribbean. (あしたの今ごろはカリブ海を航海中でしょう。)
⑵ You’ll be swimming in the sea this time next week. (来週の今ごろはあなたは海で泳いでいるだろう。)
⑶ It will be snowing when you get to Sapporo. (札幌にあなたが着いたときには、雪が降っているだろう。)
例文⑴~⑶は、未来のある時点において進行中の動作や継続している状態について述べられています。
未来進行形についての説明は以上です。次からは未来完了形について説明します。
未来完了形について
未来完了形とは、動詞の活用の5つ(原形、現在形、過去形、過去分詞形、ing形)の中の過去分詞形と助動詞〔will, have〕を組み合わせて用いる形〔will + have + 動詞の過去分詞形〕です。
未来完了形は、過去、現在或いは近い未来に起こったことの影響が先の未来まで及んでいることを表わし、過去、現在或いは先の未来と先の未来に繋がりを与えることを目的としています。
未来完了形には4つの用法があります。完了用法、結果用法、継続用法、経験用法です。
それぞれについて詳しく解説していきます。
未来完了形の完了用法
完了用法とは、過去、現在或いは近い未来の時点で始めた動作が、先の未来の時点で完了することを表わします。
例文を確認してみましょう。
⑴ Do you think the book will have arrived by tomorrow? (明日になったらその本はもう届いているでしょうか?)
⑵ The rain will have passed by tomorrow. (明日には雨は通りすぎているだろう。)
未来完了形の結果用法
結果用法とは、過去、現在或いは近い未来の時点の状態や完了した動作の結果の影響が先の未来の時点まで及んでいることを表わします。
例文を確認してみましょう。
⑴ This lake will probably have frozen by Christmas. (この湖はクリスマスまでには、たぶん、もう凍ってしまっているでしょう。)
⑵ Before his vacation is over, he will have made many new friends. (休暇が終わるまでに、彼には新しい友人がたくさんできているだろう。)
未来完了形の継続用法
継続用法とは、過去、現在或いは近い未来の時点で開始した動作や状態がそのまま先の未来まで及んでいることを表わします。継続用法は、for(~の間)などの『期間』を表わす副詞とともに用いられることが多いです。
例文を確認してみましょう。
⑴ She will have been abroad two years next October. (彼女は次の10月で2年間外国にいたことになる。)
⑵ My parents will have been married for 30 years on November 1st. (私の両親は11月1日で結婚して30年になります。)
未来完了形の経験用法
経験用法とは、過去、現在或いは近い未来の時点から先の未来に至るまでに経験したことについて表わします。経験用法は~times(~回)といった『回数』を表わす副詞とともに用いられることが多いです。
例文を確認してみましょう。
⑴ If I visit Paris again, I’ll have been there five times. (私はもう一度パリに行けば、5回訪れたことになります。)
⑵ How many times will you have visited the place if you go there again? (もう一度行けば、あなたはそこに何度訪れたことになりますか?)
未来完了形の説明は以上です。次に、未来進行形と未来完了形が組み合わさった未来完了進行形について説明します。
未来完了進行形について
未来完了進行形とは、動詞の活用の5つ(原形、現在形、過去形、過去分詞形、ing形)の中のing形と助動詞〔will〕の現在形と助動詞〔have〕の原形と助動詞〔be〕の過去分詞形を組み合わせて用いる形〔will + have + been + 動詞のing形〕です。
未来完了進行形は、過去完了形と同じで、過去、現在或いは近い未来に起こったことの影響が先の未来まで及んでいることを表わします。未来完了進行形は、継続用法しかありません。
継続用法は、過去、現在或いは近い未来の時点で開始した動作や状態が先の未来まで継続していることを表わします。
未来完了形の継続用法と意味機能的には同じですが、表現としては未来完了進行形の方が動作の臨場感を与え、いきいきとした印象になります。
例文を確認してみましょう。
⑴ By age 60, he will have been making payments for 30 years and will have deposited $100,000. (60歳までに彼は30年間払い続けて10万ドル預金したことになる。)
⑵ It will have been snowing a week if it doesn’t stop tonight. (今夜やまないと1週間雪が降り続くことになる。)
未来完了進行形の説明は以上です。次からは助動詞〔will〕を用いない未来の表現について見ていきたいと思います。
be going toを使った未来の表現
未来のことを表わすために、be going to を用いることがあります。
この表現は、現在進行形とto不定詞を組み合わせたもので、現在進行形の「~の方へ進みつつある、進んでいる途中である」という感覚と「to不定詞」の「動作の達成の方向へ向かう」という感覚が合わさったもので、「動作の達成の方向へ進んでいる」という意味になり、つまり「~する方向に進んでいる」「~するつもりだ」という表現になります。
例文を確認してみましょう。
⑴ There is going to be a meeting this evening. (今夜は会議が開かれる。)
⑵ Look at those black clouds. It’s going to rain soon. (あの黒い雲を見て!じきに雨になるでしょう。)
⑶ He is going to be a teacher when he grows up. (彼は大きくなったら教師になるつもりです。)
例文⑴~⑶のように未来のことは be going to を用いて表現することができます。
will と be going to の違いについて
willとbe going to はどちらも未来のことを表わしますが、表現の違いがあります。
1.近接未来と単純未来
be going to は何かが起こりそうな兆候があり、その兆候から判断して近い未来に「~しそうだ」という話者の予測を表わします。一方、will は話者の単なる予測で、近い未来でも遠い未来の両方に用いられます。
表現の違いを例文で確認してみましょう。
⑴ He is going to get better. (彼は良くなるだろう。)
⑵ He will get better. (彼は良くなるだろう。)
例文⑴は、be going to が使われていて、熱が下がったから、食欲が出たからなどの兆候があることを含意する表現になります。
例文⑵は、will が使われていて、(評判の良い病院に通っているなどの事実を判断材料とした)話者の単なる予測が表現されています。
2.意思未来
be going to は発話の時点よりも前もって(あらかじめ)考えていた意図を表わします。一方で、will はその場の状況に応じて考えた意図を表わします。
表現の違いを例文で比較してみましょう。
⑴ There’s no milk in the refrigerator. (冷蔵庫に牛乳がない。)
↓ ⑴に対する返答
⑵-(a) I’m going to get some today. (今日買いに行くつもりだよ。)
⑵-(b) I’ll get some today. ((じゃあ)今日買ってくるよ。)
例文⑵-(a)は、be going to が使われていて、牛乳がないことをあらかじめ知っていて、買いに行くことをすでに考えていたという感じが伝わります。
例文⑵-(b)は、will が使われていて、牛乳がないと言われたので、それなら買いに行くとその場で決意したことが伺えます。
以上でwillとbe going to の表現の違いについて理解いただけたかと思います。最後に be about to を使った未来の表現について説明します。
be about toを使った未来の表現
直前の未来を表わす際は、be about to が用いられます。
「すぐ近くに(周囲に)」という意味の「about」と「動作の達成の方向へ向かう」という感覚の「to不定詞」を組み合わせて、「動作の達成のすぐ近くにいる」という意味をつくり、「まさに~するところである」という差し迫った未来について表現する際に用いられます。
例文を確認してみましょう。
⑴ The cherry trees are about to blossom. (桜の花がまさに今咲こうとしている。)
⑵ I feel something terrible is about to happen. (私は何か恐ろしいことが今にも起こるのではないかと思う。)
⑶ The bus is about to leave. (バスがまもなく出発する。)
例文⑴~⑶のように近接した未来のことは be about to を用いて表現することができます。
未来、未来進行形、未来完了形、未来完了進行形の説明は以上になります。
最後に
冒頭で説明したように、英語では動詞を語形変化させたり、助動詞を用いたりすることで、現在や過去、未来といった時を表現することができ、これに加えて、開始した動作が途中(進行中)の状態であるか、完了した状態であるかについても表現できることが理解できたかと思います。
未来に関しては、現在もしくは過去と違って、動詞の語形変化の中に未来形というカタチがあるわけではなく、助動詞の力を借りたり、その他の表現を使って未来を表わすという特徴がありましたね。
英語を機械的に日本語に訳すのではなく、助動詞と動詞の語形変化のこのような狙いを認識して英語に触れることで、それぞれの表現が使われる場面を意識でき、実践的な英語を理解する力を身に付けることができるようになります。英語話者の言語使用感覚が身に付くまで訓練を重ねましょう!