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論理的な文章を読んでその文脈を理解するには、論理的な概念を示す表現、特に文と文をつなぐ或いは段落と段落をつなぐ『つなぎの表現』を適切に理解する必要があります。
論理的な概念には、『一般論の提示、具体例の提示、列挙、追加、原因・理由、結果・結論、逆接、譲歩、対照・対比』などがありますが、今回はこの中から『原因・理由』を導く表現について解説したいと思います。
原因・理由とは
『原因』とは、ある物事や状態を引き起こしたもとになった事・出来事のことです。
『理由』とは、なぜそうなったのか、なぜそうするのかという根拠のことです。
『原因・理由』を導く表現には次のようなものがあります。
日本語では、〔これは~だからだ〕〔それは~だからだ〕〔~なので〕〔~という理由で〕〔~の理由で〕〔~のため〕〔~のおかげで〕などがあります。
英語では、〔this is because ~〕〔that is because ~〕〔because〕〔since〕〔as〕〔because of ~〕〔on the grounds that ~〕〔on the grounds of ~〕〔on account of ~〕〔due to ~〕〔thanks to ~〕などがあります。
それでは、英語の『原因・理由』を導く表現について解説します。
this is because ~ / that is because ~ 〔これは~だからだ〕〔それは~だからだ〕
〔this is because ~〕〔that is because〕は〔これは~だからだ〕〔それは~だからだ〕という意味で、『原因・理由』を表す直接的な表現です。
例文で確認してみましょう。
⑴ This is because the major export markets are slowing.
(これは主要輸出市場が減速しているからだ)
⑴ That’s because industry is smack in the middle of the city.
(それは産業がちょうど町の中心地にあるからだ)
because / since / as / because of ~ 〔~なので〕
日本語で『原因・理由』を表したい場合〔~なので〕という表現がよく使われます。
英語で〔~なので〕という意味を表す単語には接続詞の〔because〕〔since〕〔as〕〔because of ~〕などがあります。
これらを〔A because B〕〔A since B〕〔A as B〕〔A because of B〕のように置いた場合、「BなのでA」という意味になり、「Bが原因・理由で、Aという結果になる」という「結果⇒原因・理由」の並びで『原因・理由』を表すことができます。
また、〔Because A, B〕〔Since A, B〕〔As A, B〕〔Because of A, B〕と置いた場合、「AなのでB」という意味になり、「Aが原因・理由で、Bという結果になる」という「原因・理由⇒結果」の並びで『原因・理由』を表すことができます。
いずれの場合にしろ、接続詞〔because〕〔since〕〔as〕〔because of ~〕の後に続く部分が『原因・理由』を表すことになります。
それでは例文で確認してみましょう。
⑴ The people of an oppressed country obey their conquerors because they want to go on living.
(抑圧された国の国民は生き延びたいので征服者に従う)
⑴ I’m forever on a diet, since I put on weight easily.
(私は太りやすい体質なので、いつもダイエット中だ)
⑵ Since they can and do successfully inter-breed, they cannot be classed as different species.
(それらの交配は可能であるし、実際問題なく交配しているので、別々の種に分類することはできない)
⑴ As it was raining, we decided to stay home.
(雨が降っていたので、家にいることにした)
⑵ Enjoy the first hour of the day. This is important as it sets the mood for the rest of the day.
(その日の最初の1時間を楽しむこと。これでその日の気分が決まるので、重要です)
⑴ Because of the popularity of the region, it is advisable to book hotels or camp sites in advance.
(その地域は人気が高いので、ホテルやキャンプ場は事前に予約しておいたほうがよい)
on the grounds that ~ / on the grounds of ~ 〔~という理由で〕〔~の理由で〕
〔on the grounds that ~〕〔on the grands of ~〕は〔~という理由で〕〔~の理由で〕という意味を持ち、『原因・理由』を表す直接的な表現になります。
〔on the grounds that〕〔on the grands of〕の後に続く部分が『原因・理由』を表します。
それでは例文で確認してみましょう。
⑴ The court overturned that decision on the grounds that the prosecution had withheld crucial evidence.
(検察側が重要な証拠を提供しなかったという理由で法廷は判決を覆した)
⑴ I filed for divorce on the grounds of adultery a few months later.
(私は数か月後に不貞を理由に離婚を申し立てた)
on account of ~ / due to ~ 〔~のために〕
〔on account of ~〕〔due to ~〕は〔~のために〕という意味を持ち、『原因・理由』を表す直接的な表現になります。
〔on account of〕〔due to〕の後に続く部分が『原因・理由』を表すことになります。
それでは例文で確認してみましょう。
⑴ The president declined to deliver the speech himself, on account of a sore throat.
(大統領はのどの痛みのために、自ら演説することを辞退した)
⑴ Due to large volume of letters he receives John regrets he is unable to answer queries personally.
(あまりにも多くの手紙が届いたために、ジョンは自分で質問に答えられないことを残念に思っている)
thanks to ~ 〔~のおかげで〕
〔thanks to ~〕は〔~のおかげで〕という意味を示します。
〔~のおかげで〕は、あることが原因・理由となって、好ましい状態が生じたことを表す表現です。この表現では〔thanks to〕の後に続く部分で「原因・理由」を表します。
それでは例文で確認してみましょう。
⑴ Man became able to hand down records thanks to the invention of writing.
(文字の発明のおかげで、人類は記録を文字で残せることができるようになった)
結果を導く表現から『原因・理由』を見つけ出す
英語で『結果』を導く表現、例えば〔as a result of ~〕がありますが、『結果』を導く際に『原因・理由』をもとに『結果』を導いている場合が多々あります。このような表現の特徴を利用して、『結果』を導く表現をヒントに『原因・理由』が述べられている部分を見つけ出すことが可能です。
英語で〔~の結果として〕という意味の〔as a result of ~〕を〔A, as a result of B〕のように置いた場合、「Bの結果としてA」という意味になり、「Bが原因・理由で、Aという結果になる」という「結果⇒原因・理由」の並びになります。
また、〔As a result of A, B〕と置いた場合、「Aの結果としてB」という意味になり、「Aが原因・理由で、Bという結果になる」という「原因・理由⇒結果」の並びになります。
つまり、結果を導くつなぎ表現の〔as a result of〕の後に続く部分が「原因・理由」を表していることになります。
それでは例文で確認してみましょう。
⑴ As a result of the growing fears about home security, more people are arranging for someone to stay in their home when they’re away.
(家の防犯に関する不安が増大している結果として、留守をするときは留守番を頼む人が増えている)
英語で〔~の結果として〕という『結果』の意味を導くつなぎ表現には他にも〔as a consequence〕〔in consequence〕などがあります。
これらを、〔A, as a consequence B〕〔A, in consequence B〕のように置いた場合、「Aの結果としてB」という意味になり、「Aが原因・理由で、Bという結果になる」という「原因・理由⇒結果」の並びになります。
つまり、結果を導くつなぎ表現の〔as a consequence〕〔in consequence〕の前にある部分が「原因・理由」を表していることになります。
それでは例文で確認してみましょう。
⑴ Global warming is getting worse, and as a consequence, some animals are in danger of extinction.
(地球温暖化が進んでいて、結果として、絶滅の危機に瀕している動物がいる)
⑴ His death was totally unexpected and, in consequence, no plans had been made for his replacement.
(彼の死はまったく予期せぬことであり、結果として、彼の後任については何の案も立てられていなかった)
以上、『原因・理由』を導くつなぎ表現について説明しました。
これら以外にも、単純に動詞だけで『原因・理由』を導くものがあります。
『原因・理由』を主語にする動詞
主語(動詞の前)に「原因・理由」を置き、動詞の目的語(動詞の後)に「結果」を置く動詞には〔~を引き起こす〕〔~に…をもたらす〕〔~につながる〕などの意味を表す〔cause〕〔bring about〕〔lead to〕があります。
例文で確認してみましょう。
⑴ The insecticide used on some weeds can cause health problems.
(一部の雑草に使われる殺虫剤は健康上の問題を引き起こすことがある)
⑵ John’s drinking caused him to be committed to a psychiatric hospital.
(飲酒が原因でジョンは精神病院に収容されることになった)
⑴ Smoking brings about a lot of bad effects on your health.
(喫煙は健康にさまざまな弊害を引き起こす)
⑴ Lack of exercise can lead to feelings of depression and exhaustion.
(運動不足はうつ感や疲労感につながることがある)
『原因・理由』を前置詞の目的語にする動詞
主語(動詞の前)に「結果」を置き、受身形の動詞の後に置く前置詞の後に「原因・理由」を置く動詞には〔~から生じる〕〔~が原因で起こる〕などの意味を表す〔be resulted from ~〕〔be caused by ~〕があります。(※〔cause〕を受身で使うと、元々「原因・理由⇒結果」だったものが「結果⇒原因・理由」に変わります)
例文で確認してみましょう。
⑴ The accident was resulted from his carelessness.
(事故は彼の不注意から生じた)
⑴ His sickness was caused by bad food.
(彼の病気は粗末な食事が原因で起きた)
以上、英語の『原因・理由』を導く表現について紹介しました。