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補語についてたいへん分かりやすい説明をしたいと思います。
補語とは、いったい何なのでしょう。
補語と5文型
さて、動詞の文型に注目すると、補語が登場するのは、第2文型(SVC)と第5文型(SVOC)になります。Cという記号が補語(=complement)を表します。(Sは主語、Vは(述語)動詞、Oは動詞の目的語)
補語って何なのでしょう?
主語は、文中の主人公的存在です。主要な登場人物・事柄・概念のことです。
(述語)動詞は、動作や状態を表す語です。述語動詞は、主語の動作・状態を言い表します。
動詞の目的語は、動作の対象になる人物・事柄・概念等です。
補語は?
補語については、簡単な文法の本を読んでも、あまり補語の詳しい解説が載っていないことが多く、第2文型と第5文型のCだよという説明が多いような気がしますが、それは補語の使われ方を述べているだけで、補語がいったいどういう概念なのかの説明にはなっておりません。
補語って何?
補語になるのは名詞と形容詞
まず、補語になれる語は、名詞と形容詞です。
名詞とは、人・事柄の名前です。(例:本、山、川、日本、首相)
形容詞とは、名詞の状態を説明する語です。(例:美しい、古い、高い)
名詞と形容詞とは、このように全く異なる性質を有する語ですが、なぜこの異なる2つが同じ補語というグループに属することができるようになるのでしょうか。
補語の役割を考えてみましょう。補語とは、名詞を説明する語です。これは、考えてみると形容詞と同じ役割です。補語は、じつはこのように形容詞と全く同じ役割を持つのです。
形容詞が補語として扱われる条件
形容詞が補語に属する場合を考えてみます。形容詞が文の中で、”ある用いられ方”をしたときに、形容詞が補語に属することになります。
“ある用いられ方”とは、
形容詞の基本的な使い方(語順)は「名詞の前に置く」です。
状態を説明したい名詞の前に形容詞を置いて、その名詞を修飾(説明)します。
例えば、名詞〔book〕を形容詞〔old〕で説明する場合、次のようになります。
それでは、形容詞を説明したい名詞の後ろに置いたらどうなるでしょう。
修飾関係は成り立ちません。
では、これを成り立たせるにはどうすればよいのでしょうか。
誰かの力を借りたいところです。誰の力を借りましょうか。。
「動詞さん、出番です」お願いします。
動詞の力を借りてみましょう。 be動詞の現在形 〔is〕を名詞〔book〕と形容詞〔old〕の間に入れてみます。
成り立ちました!
この現象を詳しくみていきましょう。形容詞を、本来の「説明したい名詞の前」ではなく、「説明したい名詞の後」に置きました。形容詞は本来の語順の位置にないため、自身の持つ「名詞を説明する」という能力が半減しています。その半減した能力を補うのが動詞です。「説明したい名詞の後」に置いた形容詞は、動詞の力を借りてようやく名詞を説明することができるのです。
先ほど、「説明したい名詞の後」に置いた形容詞の能力を”補う”のが動詞と説明しました。つまり、「説明したい名詞の後」に置いた形容詞が、動詞の補助を必要としているのです。さて、このように、動詞の補助を必要とする形容詞は「補(助を必要とする)語」であり、補語と名前を付けて呼ぼうというふうに考えることができるかと思います。
補語の説明を今度は動詞側の視点で
次に、これまでの説明を動詞の視点から見て行きたいと思います。
次の2つの文について、考えます。
⑴ The wind blew. (風が吹いた。)
⑵ The book is old. (その本は古い。)
⑴では、blew(=blowの過去形)は吹いたという状態を表し、wind(=風)という名詞の状態を「(完全自)動詞」が表しています。
一方、⑵では、book(=本)という名詞の状態を「形容詞」が”古い”と表しています。
なぜ、「形容詞」を使うのでしょう。それは、「古い」という状態を表す(完全自)動詞が存在しないからです。「古い」という状態を表す(完全自)動詞が存在しないので、とりあえず「~である」という意味の(不完全)自動詞を置きました。しかし、それだけでは意味が通らないので、形容詞の補助を得て、「古い状態である」と名詞を説明するのです。このように、不完全な自動詞(=名詞の状態を説明する能力が不完全である)を補助してあげるのが形容詞の役割です。このように、文の中である名詞を説明する際に、不完全な自動詞の補助をする形容詞は「補(助をする)語」であり、補語と名前を付けて呼ぼうというふうに考えることができるかと思います。
「補語とは?」のまとめ
さて、今回のテーマである「補語とは何であるか」、について説明をまとめます。
⑴補語とは、名詞を説明する際に、動詞の補助を必要とする形容詞である。
または、
⑵補語とは、不完全自動詞の補助をする形容詞のことである。
補語という概念について、完璧に理解できましたね?
名詞が補語になる場合
さて、補語になるのは形容詞だけではありません。名詞も補語になります。名詞は通常、他の語を修飾(説明)する能力は持っていません。
名詞には修飾する能力がないのですが、先ほどの形容詞の例と同じように、動詞の力を借りて、名詞が名詞を説明することができるようになります。
I am a doctor. (私は医者です。)
I am a doctor.
名詞が名詞を説明するとは、ある物事がある名前のグループに属すると考えることができます。例文の場合、I(=私)がdoctor(=医者と呼ばれる職業のグループ)に属しているということになるでしょう。
補語が用いられる文の和訳について
補語が絡んだ文の訳について、考えましょう。
第2文型について
第2文型(SVC)では、補語が主語(名詞)を説明します。つまり、Cが(Vの力を借りて)Sを説明します。このような関係性から、一般的に、SとCの関係はイコールの関係にあるといわれます。(S=Cが成り立つ)
もし、イコールという概念がしっくりこない場合は、Cは単にSの説明であると考えれば良いです。
和訳の型として、次のように考えることができます。
・SはC(形容詞)の状態である。
I am hungry. (私は空腹の状態である = 私は空腹である)
SとCの関係をみると、Sが〔I〕でCが〔hungry〕であり、「私は空腹である」とCがSの状態を説明していることが分かります。
・SはC(名詞)のグループに属する。
He is a gentleman. (彼は紳士のグループに属する = 彼は紳士である)
SとCの関係をみると、Sが〔He〕でCが〔gentleman〕であり、「彼は紳士である」とCがSの属性を説明していることが分かります。
第5文型について
第5文型(SVOC)では、補語が動詞の目的語(名詞)を説明します。つまり、Cが(Vの力を借りて)Oを説明します。このような関係性から、一般的に、OとCの関係はイコールの関係にあるといわれます。(O=Cが成り立つ)
もし、イコールという概念がしっくりこない場合は、Cは単にOの説明になると考えれば良いです。
和訳の型としては、次のように考えることができます。
・SはOがC(形容詞)の状態をVする(Vの力で導く)。
She always keeps her room tidy. (彼女はいつも彼女の部屋が片付いた状態を保つ = 彼女はいつも部屋をきれいにしている)
OとCの関係をみると、Oが〔her room〕でCが〔tidy=(片付いた)〕であり、「部屋が片付いている」とCがOの状態の説明になっていることが分かります。
・SはOがC(名詞)のグループに属するようにVする(Vの力で導く)。
They named their first son Tom. (彼らは長男がTomという名前に属するよう名付けた = 彼らは長男をTomと名付けた)
OとCの関係をみると、Oが〔their first son〕でCが〔Tom〕であり、「長男の名前はTomである」とCがOの属性の説明になっていることが分かります。
補語の説明については、以上です。
補語という要素の理解によって、今後英文の理解力が各段に向上することは間違いないでしょう。