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関係代名詞について、日本一分かりやすく説明します。
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まず、最初に「関係代名詞」という言葉に注目しましょう。「関係代名詞」とは、「関係詞」と「代名詞」が合わさった言葉です。したがって、「関係代名詞」は「関係詞」と「代名詞」に分けて考えることができます。
関係代名詞の役割
さて、「関係代名詞」は、「関係詞」としての役割と「代名詞」としての役割の2つの役割を持っています。それぞれの役割がどのようなものか、見ていきましょう。
「関係代名詞」の「関係詞」としての役割は、
説明したい名詞とイコール関係になる節(=語のかたまり)を作り、その節と名詞を結ぶという役割です。
「関係代名詞」の「代名詞」としての役割は、
説明したい名詞とイコール関係になる節の中で説明したい名詞の代名詞になるという役割です。
以上の説明だけでは、よく分からないと思いますので、以下により詳しく説明します。
まず、名詞を説明することについて考えましょう。
通常、英語で「ある名詞」について説明を加えたい場合、形容詞をその名詞の前に置きます。
例えば、
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book(=本)の前にold(=古い)という形容詞を置いて、old book(=古い本)と言うことができます。
ちなみに、日本語の場合も、形容詞を説明したい名詞の前に置くので、英語と同じです。
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続いて、同様に名詞について何か説明したい時、先ほどのような形容詞1語ではなく、
⦅I bought the book yesterday⦆(=私が昨日買ったその本)
というやや長めの文で説明したい場合はどのようにすればよいでしょう。
日本語の場合を考えてみると、先ほどの形容詞と同じように、説明したい名詞の前に置くことができます。詳しく見てみると、⦅私が昨日買ったその本⦆の内、「その本」という部分は省略して、「本」という説明したい名詞の前に置きます。
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ちなみに、この⦅私が昨日買った⦆というやや長めの文は文法用語で「節」と呼ばれます。
「節」とは具体的に、「主語と(述語)動詞を含む語のかたまり」のことです。
今回の例文の場合は、主語が「私」で(述語)動詞が「買った」になります。語のかたまりの中に、主語と(述語)動詞を含んでいる為、⦅私が昨日買った⦆のひとかたまりは「節」になります。そしてさらに、(私が昨日買った)という「節」は形容詞と同じ〔名詞を説明する役割〕を行っているので「形容詞節」と呼びます。
「節」には、
形容詞と同じ働きをする「形容詞節」の他に、名詞と同じ働きをする「名詞節」と副詞と同じ働きをする「副詞節」があります。
形容詞と名詞、副詞の役割をおさらいすると、
- 形容詞の役割は、〔名詞を説明する〕、〔補語になる〕のどれかです。
- 名詞の役割は、文の中で、〔主語になる〕、〔動詞の目的語になる〕、〔前置詞の目的語になる〕、〔補語になる〕のどれかです。
- 副詞の役割は、名詞以外の品詞を説明するので、つまり〔動詞を説明する〕、〔形容詞を説明する〕、〔副詞を説明する〕、〔ある文全体を説明する〕のどれかです。
また、「節」は、「節(=語のかたまり)」がどこから始まり、どこで終わったのか明確にしなければなりません。
したがって、この始まりと終わりの境目を明確にし、かつ、「節」が名詞、形容詞、副詞のどの働きをしているか明確にする為に、
- 名詞節は節の始まりから終わりを〚〛(=二重四角のカッコ)で囲む 。
- 形容詞節は節の始まりから終わりを⦅⦆(=二重丸のカッコ)で囲む 。
- 副詞節は節の始まりから終わりを≪≫(=二重三角のカッコ)で囲む。
というルールに従い、区別すると分かりやすくなります。
さて、日本語の場合は、形容詞1語と同じように、⦅私が昨日買った⦆という「形容詞節」を説明したい名詞の前に置くことができましたが、実は英語の場合は、「形容詞節」を説明したい名詞の前に置くということはできません。
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前ではなく、後ろに置きます。
なぜ後ろに置くのかというと、英語には後ろに置かなければならないという絶対的な文法上のルールがあるからです。
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このようにして、「本、つまり 私が昨日買ったその本」という感じで、
説明したい「本」という名詞の後ろに〔形容詞節〕を置いて、「つまり 私が昨日買ったその本」という具合で説明するのです。
さて、〔形容詞節〕は、説明したい名詞の後ろに置かなければならないことが分かったかと思いますが、これだけではまだ不十分です。
関係代名詞の役割および使用法、考え方
ここで、「関係代名詞」を登場させます。
「関係代名詞の」役割は冒頭の方で説明したように、「関係詞」としての役割と「代名詞」としての役割の2つの役割があり、それぞれ、以下の通りです。
「関係代名詞」の「関係詞」としての役割は、
説明したい名詞とイコール関係になる節(=語のかたまり)を作り、その節と名詞を結ぶという役割です。
「関係代名詞」の「代名詞」としての役割は、
説明したい名詞とイコール関係になる節の中で説明したい名詞の代名詞になるという役割です。
先ほどの例文に「関係代名詞」を登場させると、次のようになります。
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「関係代名詞」の「関係詞」としての役割として、説明したい名詞「book(=本)」と形容詞節の⦅I bought the book yesterday⦆(=つまり 私が昨日買ったその本))の間にイコールの記号を置きます。
「関係代名詞」の「代名詞」としての役割として、説明したい名詞とイコール関係になる形容詞節の中で、説明したい名詞「book(=本)」と同じ名詞である「the book」を代名詞のwhichに置き換えます。
これで、「関係詞」としての役割と「代名詞」としての役割が務まりました。
そして、最後の仕上げとして、代名詞のwhichをイコールの位置に動かし、イコールの意味をwhichの中に含意し、イコールの記号自体は消滅させます。この作業で、「代名詞のwhich」が「関係代名詞のwhich」に完全に姿を変えることになります。
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これで、完成です。
さて、whichをわざわざイコールの位置に動かした理由は、何でしょう。
それは、先ほどの、
イコールを含意し、「代名詞のwhich」を「関係代名詞のwhich」に完全に姿を変えさせるという目的と、
そしてこの他に、
名詞を説明する「節」がここ(which)から始まりますという目印にする意図があります。
whichを節の先頭に置いたことで、名詞を説明する形容詞節が名詞の直後に続いていることがすぐに分かるようになるのです。
さて、
英語で、「本」について、「私が昨日買った」という「節(=主語と(述語)動詞を含む語のかたまり)」で説明した場合には、
(the) book which I bought yesterday
と表現することがお分かりいただけたと思います。
まとめ
以上をまとめると、
- 「関係代名詞」は、説明したい名詞とイコール関係になる節(=語のかたまり)を作り、その節と名詞と結ぶ。
- 「関係代名詞」は、説明したい名詞とイコール関係になる節の中で説明したい名詞の代名詞になる。
⑴ 説明したい名詞の後に節を置く。
⑵ 節の先頭にイコールの記号を置く。
⑶ 節の中で説明したい名詞と同じ名詞を代名詞に置き換える。
⑷ 代名詞をイコールの位置に動かし、イコールの記号は文中から削除する。
となります。
最後に、先行詞とは
ちなみに、関係代名詞が導く形容詞節が修飾(説明)する名詞、あるいは関係代名詞が代名詞として置き換えた名詞を先行詞と呼びます。
大事な用語ですので覚えておきましょう。
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⑴ 関係代名詞が導く形容詞が修飾(説明)する名詞
または、
⑵ 関係代名詞が代名詞として置き換えた名詞
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関係代名詞については、この基本的な使い方に加え、他にも種々気を配らなければならないことがいくつかあります。それらに関しては、別の投稿にて説明しておりますので、そちらの方も併せてご確認ください。