目次
〔anything but …〕と〔nothing but …〕の和訳は次のようになります。
〔anything but …〕の和訳は「決して…ではない」となります。
〔nothing but …〕の和訳は「…にすぎない」となります。
なぜ、このような和訳になるのか、考えてみましょう。
but の品詞は?
まず、〔but〕の品詞に注目すると、ここでの〔but〕は前置詞になります。
前置詞の〔but〕は「~を除いて、~以外、~のほかは」という意味を持ちます。(〔except〕と同じ意味を持ちます。)〔but〕は前置詞なので、後ろには前置詞の目的語(名詞)が続きます。したがって、〔but + 名詞〕という形を取り、和訳は「〔名詞〕を除いて」となります。
参考記事
ちなみに〔前置詞 + 名詞〕のかたまりは『句』と呼ばれ、〔前置詞 + 名詞〕は形容詞の働きをする形容詞句もしくは、副詞の働きをする副詞句になります。
・ 形容詞の働きは、〔名詞を説明する〕、〔補語になる〕のどちらかです。
・ 副詞の働きは、名詞以外の品詞を説明するので、つまり〔動詞を説明する〕、〔形容詞を説明する〕、〔副詞を説明する〕、〔ある文全体を説明する〕のどれかです。
それでは、本題の〔anything but …/ nothing but …〕の和訳について考えていきましょう。
〔anything but ... / nothing but ...〕の和訳
〔anything but …〕の構文は、和訳の際に〔anything〕と〔but + 名詞〕の間を。(句点)で区切って訳すと理解しやすくなります。
早速例文で確認してみましょう。
He is anything but a poet.
(彼は何かである。詩人を除いて。⇒彼は決して詩人ではない。)
この例文を直訳すると、「彼は詩人を除いた何か」となり、裏を返すと「彼は決して詩人ではない」となります。
同様に、〔nothing but …〕の構文も、和訳の際に〔nothing〕と〔but + 名詞〕の間を。(句点)で区切って訳すと理解しやすくなります。
早速例文で確認してみましょう。
He is nothing but a poet.
(彼は何もない。詩人を除いて。⇒彼は詩人にすぎない。)
この例文を直訳すると、「彼は詩人を除いたら何もない」となります。
さて、〔nothing〕というワードが出てきた際は必ず裏を返して考えてみることが和訳の極意です。裏を返してみると「彼にあるのは詩人だけ」となります。このままだと不自然なので、これを整えると「彼は詩人にすぎない(彼は単なる詩人である)」となります。
文法の解説 -1-
〔anything but …/ nothing but …〕の先ほどの例文は、文法的な観点で考えると、〔but a poet〕が副詞句となり、副詞句は文を修飾(説明)することができますので、〔He is anything / nothing〕の文を修飾していると考えることができます。
また、〔anything〕や〔nothing〕は補語(C)となっており、第2文型(SVC型)の補語は主語(S)の説明をするという働きがあるので、〔anything〕と〔nothing〕はいずれも主語〔He〕の説明になっていることが伺えます。
それでは、〔anything but …/ nothing but …〕の和訳について、まとめます。
・〔anything but …〕の直訳は「…を除いた何か」となり、裏を返すと「決して…でない」となる。
・〔nothing but …〕の直訳は「…を除いて何もない」となり、裏を返すと「…にすぎない」となる。
〔anything/nothing〕が動詞の目的語になる場合
続けて、〔anything but …/ nothing but …〕の〔anything〕及び〔nothing〕が動詞の目的語になる場合についてみていきたいと思います。
I eat anything but natto.
(私は納豆を除いて何でも食べる。/ 私は決して納豆を食べない。)
〔anything〕は動詞〔eat〕の目的語になっています。この例文を直訳すると「私は納豆を除いて何でも食べる」となり、直訳でも意味が整っていることが分かります。ちなみに、「決して…でない」を当てはめて、「私は決して納豆を食べない」としても意味が通ります。状況に応じてどちらかの訳を好きに選んでいただいて結構です。
She does nothing but grumble about her daughter.
(彼女は娘の愚痴を言うことを除いて何もしなかった。⇒彼女は娘の愚痴を言うばかりであった。)
〔nothing〕は動詞〔does〕の目的語になっています。 この例文を直訳すると、「愚痴を言うことを除いて何もしない」となります。さて、〔nothing〕というワードが出てきた際は必ず裏を返して考えてみることが和訳の極意でした。裏を返してみると「彼女は愚痴を言うことだけした」となり、このままだと不自然なので、これを整えて「彼女は愚痴を言うばかりであった」とします。
文法の解説 -2-
さて、〔I eat anything but natto.〕の文を文法的な観点で考えると、〔but natto〕が副詞句となり、副詞句は動詞を修飾(説明)することができますので、動詞〔eat〕を修飾していると考えることができます。
また、〔She does nothing but grumble about her daughter.〕の文を文法的な観点で考えると、〔but grumble〕が副詞句となり、文〔She does nothing〕を修飾していると考えることができます。
さらに、もう1例〔nothing〕が動詞の目的語になる〔nothing but …〕について、説明します。
The war brought us nothing but misery.
(その戦争は悲しみを除いて何も私たちにもたらさなかった。⇒その戦争は私たちに悲しみだけをもたらした。)
〔nothing〕は動詞〔brought〕の目的語になっています。 この例文を直訳すると、「悲しみを除いて何ももたらさない」となります。さて、〔nothing〕というワードが出てきた際は必ず裏を返して考えてみることが和訳の極意でしたので、裏を返してみると「悲しみだけをもたらした」となります。
さて、〔anything but …/ nothing but …〕の和訳について、〔anything〕と〔nothing〕が動詞の目的語になる場合は、次のように和訳できることが分かりました。
・〔anything but …〕は「…を除いて何でも」と訳すことができる。
・〔nothing but …〕は「…ばかりである」「…だけである」と訳すことができる。
全体をまとめると、次のようになります。
・〔anything but …〕は「決して…ではない」「…を除いて何でも」と訳すことができる。
・〔nothing but …〕は「…にすぎない」「…ばかりである」「…だけである」と訳すことができる。
それでは、これまで学んできた知識を活かして、他の例文をいくつかみていきましょう。
〔anything but ... / nothing but ...〕の例文
It was anything but amusement.
(それは何かだった。娯楽を除いて⇒それは決して娯楽ではなかった。)
この例文を直訳すると、「それは娯楽を除いた何か」となり、裏を返すと「それは決して娯楽ではない」となります。〔but amusement〕(副詞句)が〔It was anything〕(文)を修飾(説明)しています。
He was anything but happy.
(彼は何かだった。幸せを除いて。⇒彼は決して幸せではなかった。)
この例文を直訳すると、「彼は幸せを除いた何か」となり、裏を返すと「彼は決して幸せではない」となります。〔but happy〕(副詞句)が〔He was anything〕(文)を修飾(説明)しています。
I will do anything but that.
(彼はそれを除いて何でもするつもりだ。/彼は決してそれをするつもりはない。)
この例文を直訳すると、「彼はそれを除いて何でもする」となり、裏を返すと「彼は決してそれをしない」となります。〔but that〕(副詞句)が〔do〕(動詞)を修飾(説明)しています。
He is nothing but a idler.
(彼は何にもない。怠け者を除いて。⇒彼は怠け者にすぎない。)
この例文を直訳すると、「彼は怠け者を除いて何もない」となり、裏を返すと「彼は怠け者にすぎない」となります。〔but a idler〕(副詞句)が〔He is nothing〕(文)を修飾(説明)しています。
He is nothing but a student.
(彼は何もない。学生を除いて。⇒彼は学生にすぎない。)
この例文を直訳すると、「彼は学生を除いて何もない」となり、裏を返すと「彼は学生にすぎない」となります。〔but a student〕(副詞句)が〔He is nothing〕(文)を修飾(説明)しています。
John was anything but happy to see her.
(ジョンは彼女に会って何かだった。幸せを除いて⇒ジョンは彼女に会って少しも幸せではなかった。)
この例文を直訳すると、「幸せを除いた何か」となり、裏を返すと「少しも幸せではない」となります。〔but happy〕(副詞句)が〔John was anything〕(文)を修飾(説明)しています。
I couldn’t do anything but sit there.
(私はそこに座ることを除いて何もできなかった。/私はそこに座ってばかりいた。)
この例文を直訳すると、「座ることを除いて何もできなかった」となり、裏を返すと「座ってばかりいた」となります。〔but sit〕(副詞句)が〔I couldn’t do〕(文)を修飾(説明)しています。
They don’t talk about anything but baseball.
(彼らは野球を除いて何も話さない。/彼らは野球のことばかり話す。)
この例文を直訳すると、「野球を除いて何も話さない」となり、裏を返すと「野球のことばかり話す」となります。〔but baseball〕(副詞句)が〔They don’t talk about anything〕(文)を修飾(説明)しています。
His speech was nothing but empty words.
(彼の演説は誠意のない言葉を除いて何もなかった。⇒彼の演説は単に誠意のない言葉だけを並べたものだった。)
この例文を直訳すると、「誠意のない言葉を除いて何もなかった」となり、裏を返すと「誠意のない言葉だけ」となります。〔but empty words〕(副詞句)が〔His speech was nothing〕(文)を修飾(説明)しています。
All that money brought nothing but sadness and misery.
(あれだけのお金は悲しみと苦痛を除いて何ももたらさなかった。/あれだけのお金は悲しみと苦痛をもたらしただけであった。)
この例文を直訳すると、「悲しみと苦痛を除いて何もなかった」となり、裏を返すと「悲しみと苦痛だけ」となります。〔but sadness and misery〕(副詞句)が〔All that money brought nothing〕(文)を修飾(説明)しています。
He is focused on nothing but winning.
(彼は勝つことを除いて何も焦点を当てていない。⇒彼は勝つことにだけ焦点を当てている。)
この例文を直訳すると、「勝つことを除いて何も焦点を当てない」となり、裏を返すと「勝つことだけに焦点を当てる」となります。〔but winning〕(副詞句)が〔He is focused on nothing〕(文)を修飾(説明)しています。
〔anything but …/ nothing but …〕の和訳研究は以上です。