はじめて英文法の基本5文型を学ぶ人に向けて、分かりやすく丁寧に解説します。

基本5文型はどのように役に立つのか

まず、なぜ基本5文型というものを学ばなければいけないかについて考えましょう。

例えば、日本語で「私は昨日買い物に行きました」という文があります。この日本語の文を、英文法を全く知らない人に英単語のみの情報を与えて英語に訳させたら、「I yesterday shopping went」となりました。

英文法の知識がないので、日本語の語順と英語の語順の違いが分からず、日本語の各単語を英単語に置き換えればそれで正解だと思ってしまい、間違ったのです。

では、英単語をどのように並べたら、英語の文章として成り立つのでしょうか。

英語の正しい語順を知るために、何を頼りにすればよいのでしょう。

そうです。

英単語をどのように並べたら文章が成り立つかという最も基本的で大切な情報を基本5文型が示しているのです。

基本5文型について

基本5文型の主要構成要素は、S(主語)V(動詞)O(目的語)C(補語)になります。

基本5文型を品詞で考えると、S(主語)とO(目的語)になれるのは名詞で、C(補語)になれるのは名詞と形容詞です。次の図のようになります。

図をみると、基本5文型が、名詞と動詞と形容詞の3つで構成されていることが分かります。

そして、これら以外の品詞、例えば副詞は基本構成要素に含みません。また、形容詞も名詞の直前に置いて名詞を修飾しているものは基本構成要素に含みません。これは基本5文型が、あくまで主語とその主語の動作およびその動作の影響範囲の文を構成する最低限の要素のみを示しているものだからです。

また、補語になれる品詞として名詞と形容詞の2つがありますので、補語が含まれる第2文型と第5文型はそれぞれ補語に名詞を使うものと形容詞を使うものと分けて考えることができます。

そうして分けて考えた場合、名詞が補語になる第2文型と第3文型、名詞が補語になる第5文型と第4文型は見た目が同じになります。

それでは、日本語の文を英語に訳すことを通して、この基本5文型を学びましょう。

基本5文型を学ぼう!

例文

⑴ 私は泣いた。

例文⑴に含まれる品詞は、名詞1つ、動詞1つです。名詞は「私」のみ、動詞は「泣いた」のみです。それぞれを英訳すると、〔I〕、〔cried〕です。

さて、名詞1つ、動詞1つで構成される文型は第1文型のみなので、例文⑴を英訳する際は第1文型を使うことになります。先頭から順に名詞、動詞の順番で並べますので、〔I cried.〕で英訳が完成します。

例文

⑵ 太陽は東から昇ります。

例文⑵に含まれる品詞は、名詞2つ、動詞1つです。名詞は「太陽」「東」、動詞は「昇ります」のみです。それぞれを英訳すると、〔the sun〕、〔the east〕、〔rise〕です。

さて、名詞2つ、動詞1つで構成される文型は第2、3文型です。どちらも先頭から順に名詞、動詞、名詞の順番で並べます。そして先頭の名詞に主語を置くことになりますので、先頭は〔the sun〕となり、〔The sun rises the east.〕で英訳が完成するように思えます。が、これは不正解です。

場所を表わす〔the east〕は前に前置詞〔in〕を置いて、〔in the east〕とし、「前置詞+名詞」のセットで副詞の働きをする句(副詞句)にしなければなりません。〔in the east〕と副詞句にして、動詞の〔rise〕を修飾(説明)させ、「東から昇る」とするのです。

よって、例文⑵は〔the sun〕、〔rise〕、〔in the east〕の名詞1つ、動詞1つ、副詞句1つとなり、副詞句は文の基本構成要素としては数えませんので、名詞1つ、動詞1つの第1文型を使うことになります。場所を表わす修飾要素の〔in the east〕は第1文型の最後において〔The sun rises in the east.〕が正解です。

第1文型は、結局のところ「主語がどのような動作をしたか、または、どのような状態であるかを動詞1つのみの働きで説明する」文になります。

例文

⑶ 私は病気です。

例文⑶に含まれる品詞は、名詞2つ、動詞1つです。名詞は「私」「病気」、動詞は「~です」のみです。それぞれを英訳すると、〔I〕、〔illness〕、〔am〕です。

さて、名詞2つ、動詞1つで構成される文型は第2、3文型です。どちらも先頭から順に名詞、動詞、名詞の順番で並べます。そして先頭の名詞に主語を置くことになりますので、先頭は〔I〕となり、〔I am illness.〕で英訳が完成するように思えます。が、これは不正解です。〔I am illness〕だと文字通りに私が病気ということになり、私自身がある病気の一種類(風邪など)であるかのようになってしまいます。

このようになってしまった原因は「私は病気です。」という表現自体がそもそも簡略化されたものであることにあります。正確には「私は病気の状態です。」が正しい表現になります。

「私は病気の状態です。」で最初からやり直すと、名詞1つ、動詞1、形容詞1つです。名詞は「私」、動詞は「~です」、形容詞は「病気の状態」です。それぞれを英訳すると、〔I〕、〔sick〕、〔am〕です。名詞1つ、動詞1つ、形容詞1つで構成される文型は第2文型のみなので、第2文型を使うことになります。先頭から順に名詞、動詞、形容詞の順番で並べますので、〔I am sick.〕で英訳が完成します。

例文

⑷ この本は私にとっては面白かった。

例文⑷に含まれる品詞は、名詞2つ、動詞1つ、形容詞1つです。名詞は「この本」「私」、動詞は「~だった」、形容詞は「面白い」です。それぞれを英訳すると、〔This book〕、〔I〕、〔was〕、〔interesting〕です。

さて、名詞2つ、動詞1つ、形容詞1つで構成される文型は第5文型です。先頭から順に名詞、動詞、名詞、形容詞の順番で並べます。そして先頭の名詞に主語を置くことになりますので、先頭は〔This book〕となり、〔This book was I interesting〕で英訳が完成するように思えます。が、これは不正解です。

「私にとって」の部分は〔I〕を目的格の〔me〕に変え、さらに前置詞〔to〕をその前に置いて〔to me〕で副詞句を作り、動詞の〔was〕を修飾(説明)させ、「私にとって~だった」としなければなりません。

そうすると、名詞1つ、動詞1、形容詞1つ、副詞句1つで構成される文となり、副詞句は文の基本構成要素としては数えませんので、名詞1つ、動詞1つ、形容詞1つの、第2文型を使うことになります。先頭から順に名詞、動詞、形容詞の順番で並べますので、〔This book was interesting.〕となり、文末に副詞句の〔to me〕を加えて〔This book was interesting to me.〕で完成です。

例文

⑸ 彼は教師になりました。

例文⑸に含まれる品詞は、名詞2つ、動詞1つです。名詞は「彼」「教師」、動詞は「~になりました」のみです。それぞれを英訳すると、〔He〕、〔a teacher〕、〔became〕です。

さて、名詞2つ、動詞1つで構成される文型は第2、3文型です。どちらも先頭から順に名詞、動詞、名詞の順番で並べます。そして先頭の名詞に主語を置くことになりますので、先頭は〔He〕となり、〔He became a teacher.〕で英訳が完成です。

さて、英文は完成しましたが、この文は第2文型なのでしょうか。第3文型なのでしょうか。補語に名詞を使う第2文型と第3文型の見た目は〔名詞、動詞、名詞〕という並びで同じです。どのように見分ければよいのでしょうか。

これは、第2文型と第3文型がそれぞれどういう性質の文であるかを理解すれば問題なく、区別することができます。

第2文型は、「主語がどんな状態であるか動詞と形容詞(補語)の2語の協力で説明する、または、主語がどんな属性であるか動詞と名詞(補語)の2語の協力で説明する」という文の性質を持っています。よって、「主語は名詞(補語)である」、或いは「主語は形容詞(補語)である」と言い表せることができます。

第3文型は、「動詞と名詞(目的語)の2語のペアで主語の動作や行動を説明する」という性質を持っています。名詞(目的語)は動作や行動に伴う語であり、動作や行動の一部と考えてよいでしょう。従って第2文型のように「主語は名詞である」と訳することはできません。

例文⑸の場合は「彼は教師である」と言い表せるので、第2文型であると考えるのが妥当となります。

これまでの説明から伺えるように、第2、3文型のそれぞれの動詞の後の名詞は違う性質を持っています。

第2文型の動詞の後の名詞は補語と呼ばれ、主語の状態や属性を説明します。

第3文型の動詞の後の名詞は動詞の目的語と呼ばれ、動詞とペアになって主語の動作や行動を表します。

この名詞の持つ性質の違いによって、第2文型と第3文型が区別されます。

例文

⑹ 彼は毎週日曜日に彼自身の車を洗います。

例文⑹に含まれる品詞は、名詞3つ、動詞1つです。名詞は「彼」「毎週日曜日」「彼自身の車」、動詞は「洗う」のみです。それぞれを英訳すると、〔He〕、〔every Sunday〕、〔his car〕、〔wash〕です。

さて、名詞3つ、動詞1つで構成される文型は第4文型か第5文型になります。いずれも、名詞、動詞、名詞、名詞の順番で並べます。主語は〔He〕なので、〔He washes his car every Sunday.〕もしくは〔He washes every Sunday his car.〕のどちらかになります。〔his car〕と〔every Sunday〕の並べ方はどのようにすれば正解でしょうか。

さて、実は、この〔every Sunday〕は副詞的目的格と呼ばれ、前置詞を前に置かずに単独で副詞的な働きをする名詞なのです。本来は名詞ですが、働きは副詞の働きをします。したがって、例文⑹に含まれる品詞は、名詞2つ、動詞1つ、副詞1つと考えることができます。そして、 副詞は文の主要構成要素からは外して考えますので、例文⑹の主要構成要素は名詞2つ、動詞1つになります。

名詞2つ、動詞1つで構成される文型は第2、3文型です。どちらも先頭から順に名詞、動詞、名詞の順番で並べます。よって、〔He washes his car.〕となり、さらに文末に副詞的目的格の〔every Sunday〕を加えて、〔He washes his car every Sunday.〕で文が完成です。

最後に、例文⑹が第2文型か第3文型かを考えましょう。「彼は車である」と言い表せないので第2文型ではありません。「車」は「洗う」とペアになって主語である「彼」の動作を表わしているので、例文⑹は第3文型です。

~副詞的目的格について~

通常、名詞は単独で他の語を修飾することはできません。したがって、前置詞を名詞の前に置いて、〔前置詞+名詞〕のセットで副詞句を作って他の語を修飾するのが普通です。しかし、これには例外が存在し、名詞単独で副詞の働きをする副詞的目的格』と呼ばれる名詞が存在します。副詞的目的格には、回数距離を表わすもの等があります。

・時を表わすもの

one day(ある日)、some day(いつか)、these days(最近)、last year(去年)、every year(毎年)...等

・回数を表わすもの

many times(何度も)、three times a week(週に3回)...等

・距離を表わすもの

four miles(4マイル)...等

【例文】He walked four miles to the lake. (彼は湖まで4マイル歩いた。)

例文

⑺ 彼は去年私たちに英語を教えました。

例文⑺に含まれる品詞は、名詞3つ、動詞1つ、副詞的目的格1つです。名詞は「彼」「私たち」「英語」、動詞は「教えた」、副詞的目的格は「去年」です。それぞれを英訳すると、〔He〕、〔we〕、〔English〕、〔taught〕、〔last year〕です。

さて、名詞3つ、動詞1つで構成される文型は第4文型です。先頭から順に名詞、動詞、名詞、名詞の順番で並べます。先頭の名詞に主語を置くことになりますので、先頭は〔He〕となり、次に並べるのが動詞〔taught〕です。そして、その次に置く名詞は、〔we〕と〔English〕のどちらかになりますが、どちらを先に置くべきでしょうか。

 ここで、第4文型の性質を考えます。第4文型は「『誰に』『何を』という2つの目的語を必要とする主語の動作や行動を説明」します。動詞の後には『誰に』に該当する目的語を先に置き、それに続けて『何を』に該当する目的語を置きます。

 さて、例文⑺の名詞2つ〔we〕〔English〕の並べ方が分かりました。『誰に』に該当する〔we〕が先で、『何を』に該当する〔English〕が後になります。したがって、全ての語を並べると〔He taught we English.〕になりますが、目的語の位置にくる〔we〕は目的格の〔us〕に変えなければなりませんので、〔He taught us English.〕となり、この文末に副詞的目的格〔last year〕を足して、〔He taught us English last year.〕で完成です。

例文

⑻ 彼は去年私たちに英語を教えました。

例文⑻は、例文⑺と全く同じ例文です。実は例文⑺は第3文型を用いた表現もできるのです。

「私たちに」を〔前置詞+名詞〕の形で副詞句にすれば、名詞2つ、動詞1つで構成される第3文型を適用することができるようになります。「私たちに」を副詞句で表すと、〔to us〕です。副詞句にして、動詞の〔taught〕を修飾(説明)させ、「私たちに教えた」とします。この副詞句を動詞の目的語〔English〕の後に置き、〔He taught English to us last year.〕で完成です。

例文

⑼ あなたはあなたの両親を幸せにしなければならない。

例文⑼に含まれる品詞は、名詞2つ、動詞1つ、形容詞1つ、助動詞1つです。名詞は「あなた」「あなたの両親」、動詞は「~にする」、形容詞は「幸せ」、助動詞「~ければならない」です。それぞれを英訳すると、〔you〕、〔your parents〕、〔make〕、〔happy〕、〔must〕です。さて、名詞2つ、動詞1つ、形容詞1つで構成される文型は第5文型です。主語を〔you〕を先頭にして、助動詞、動詞、名詞、形容詞の順に並べると〔You must make your parents happy.〕となり、完成です。

第5文型は、第2文型と性質が似ています。

第2文型は「主語がどんな状態であるか動詞と形容詞(補語)の2語の協力で説明する、または、主語がどんな属性であるか動詞と名詞(補語)の2語の協力で説明する」という文の性質を持っていました。

第5文型は、主語ではなく、「目的語がどんな状態であるか、どんな属性であるかを説明する」という文の性質を持ちます。そしてこの「目的語がどんな状態であるか、どんな属性であるか」は「主語の影響下あるいは認識下」で成立します。

例文

⑽ 彼らはその少年を議長に選んだ。

例文⑽に含まれる品詞は、名詞3つ、動詞1つです。名詞は「彼ら」「その少年」「議長」、動詞は「選んだ」です。それぞれを英訳すると、〔they〕、〔the boy〕、〔chairman〕、〔elected〕です。

さて、名詞3つ、動詞1つで構成される文型は第4文型と第5文型です。主語〔They〕を先頭にして、動詞〔elected〕が続きます。動詞直後に来る名詞は〔the boy〕と〔chairman〕のどちらかの可能性がありますが、どちらが動詞の直後に来るべきでしょうか。

 まず、第4文型か第5文型かの判断を行いましょう。第5文型の場合は「目的語は名詞(補語)である」と言い表せることができます。そうした場合、〔the boy〕と〔chairman〕のどちらが目的語でどちらが名詞(補語)になるのが妥当でしょうか。

第5文型は「目的語がどのような属性であるかを説明する」ので、属性という点で考えます。まず、〔the boy〕というのは一人の特定された人物なので属性とはいえません。一方、〔chairman〕の方は役職という属性に含まれると考えることができるので、補語と考えてよいでしょう。

したがって、「目的語は名詞(補語)である」の型を当てはめると、「その少年は議長である」となります。きれいに収まったので、例文⑽は第5文型と考えてよいでしょう。第5文型の名詞、動詞、名詞(目的語)、名詞(補語)の順に並べると、〔They elected the boy chairman〕となり完成です。

基本5文型について、理解できましたでしょうか。

まとめ

それでは、最後に各文型の特徴をおさらいしましょう。

各文型の特徴

<第1文型>

主語がどのような動作をしたか、または、どのような状態であるかを動詞1つのみの働きで説明する。

<第2文型>

主語がどんな状態であるか動詞と形容詞(補語)の2語の協力で説明する、または、主語がどんな属性であるか動詞と名詞(補語)の2語の協力で説明する。

<第3文型>

動詞と名詞(目的語)の2語のペアで主語の動作や行動を説明する。

<第4文型>

『誰に』『何を』という2つの目的語を必要とする主語の動作や行動を説明する。

<第5文型>

主語の影響下あるいは認識下で、目的語がどんな状態であるか、どんな属性であるかを説明する。

さらに、第2文型と第3文型の見分け方、第4文型と第5文型の見分け方をおさらいしましょう。

文型の見分け方

<第2文型と第3文型の見分け方>

第2文型の場合は「主語は名詞(補語)である」と言い表せることができる。「主語は名詞(補語)である」が成り立たない場合は第3文型である。

<第4文型と第5文型の見分け方>

第5文型の場合は「目的語は名詞(補語)である」と言い表せることができる。「目的語は名詞(補語)である」が成り立たない場合は第4文型である。

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