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関係代名詞「what」について、分かりやすく解説したいとおもいます。
まず、関係代名詞「what」の解説を始める前に、日本語の「もの・こと」という形式名詞について考えたいと思います。
日本語の形式名詞「もの・こと」
まず初めに「それ」という代名詞を含んだ文を2つ用意しました。
私はそれをやってみたい。
私はそれが食べたい。
この2つの例文について、「それ」という代名詞に焦点を当てて名詞化することを考えた時、どのようにすれば名詞になるでしょうか。
私がやってみたい「それ」
私が食べたい「それ」
代名詞「それ」の語順を変えて、文末に持ってくれば名詞化することができます。
この際、「私がやってみたい」「私が食べたい」という部分は「それ」を修飾(説明)しているので、修飾要素と考えることができます。
さて、代名詞「それ」は具体的に何かを指していますが、具体的に示さない場合は「もの・こと」という形式名詞に置き換えることができます。
私がやってみたい「それ」 ⇒ 私がやってみたい「こと」
私が食べたい「それ」 ⇒ 私が食べたい「もの」
以上のようにして具体的に定まっていない内容に関しては、とりあえず「もの・こと」という形式名詞を置きます。
この日本語の形式名詞「もの・こと」の知識は、関係代名詞「what」を理解するための基本になります。
関係代名詞「what」
日本語の形式名詞には「もの・こと」を使いますが、英語の場合、日本語の形式名詞「こと・もの」と似たような役割を担うのが、関係代名詞の「what」になります。
英語では、形式名詞を使って文を名詞化する場合は、日本語の形式名詞「こと・もの」と同じ意味を持つ関係代名詞「what」を使います。この際、関係代名詞「what」の位置は、関係代名詞は文(節)の先頭に置かなければならないという決まりに従い、先頭に置きます。
例で確認してみましょう。
私がやってみたい「それ」 ⇒ 私がやってみたい「こと」
私が食べたい「それ」 ⇒ 私が食べたい「もの」
I want to do 「it」 ⇒ I want to do「what」 ⇒ 「what」I want to do
I want to eat 「it」 ⇒ I want to eat「what」 ⇒ 「what」I want to eat
つまり、「私がやってみたいこと」は英語で「what I want to do」と表現し、「私が食べてみたいもの」は英語で「what I want to eat」と表現します。
次に、関係代名詞「what」の正体について説明します。
関係代名詞「what」の正体
関係代名詞の「what」は、実は「もの・こと」を表わす名詞の「the thing」と関係代名詞「which」の組合せ「the thing which」が形を変えて関係代名詞「what」になりました。
言い換えると、関係代名詞「what」は、先行詞の「the thing」と関係代名詞「which」が融合したものになります。
ここで、関係代名詞「what」を元の姿「the thing which」に戻すことを考えてみましょう。
what I want to do ⇒ the thing which I want to do (私がやってみたいこと)
what I want to eat ⇒ the thing which I want to eat (私が食べたいもの)
「what I want to do(私がやってみたいこと)」は「the thing which I want to do」となり、「what I want to eat(私が食べたいもの)」は「the thing which I want to eat」となります。関係代名詞「what」を元の姿「the thing which」に戻すと、単語数が増えるので表現として長くはなりますが意味については元の姿に戻した方が分かりやすいかと思います。
さて、関係代名詞「what」が先行詞の「the thing」と関係代名詞「which」が融合したものということが分かりましたが、ここで関係代名詞「which」と関係代名詞「what」の違いについて考えてみたいと思います。
関係代名詞「what」と関係代名詞「which」の違い
関係代名詞の代表的な存在としてよく使われる「which」は、通常、先行詞と呼ばれる名詞の後に置き、関係代名詞「which」を先頭として先行詞を説明する語群(節)を作ります。
具体的な例を挙げて説明すると、名詞(先行詞)「the book(本)」の後に「which I bought yesterday(私が昨日買った)」という関係代名詞「which」を先頭とする語群(節)を置くと、「the book which I bought yesterday(私が昨日買った本)」というように、先行詞とそれを修飾(説明)する語のかたまりを作ることができます。
そして、この場合、関係代名詞「which」が作る語群(節)は名詞(先行詞)を修飾(説明)する形容詞的な働きを行っていて、関係代名詞「which」がつくる語群(節)は形容詞節と呼ばれます。
一方で、関係代名詞「what」は先行詞「the thing」と関係代名詞「which」が融合したものであり、先行詞自体を自分自身が含んでいる為、先行詞を説明するという本来の関係代名詞的な働きを行いません。先ほども述べたように、関係代名詞はふつう先行詞を説明する形容詞節を作りますが、関係代名詞「what」は形容詞節を作らず、「~であるもの」「~であること」という語群(名詞節)を作ります。
このような状況を考えると、形容詞節を作って先行詞を説明するという本来の関係代名詞の働きを行わない関係代名詞「what」は『関係代名詞』と呼ぶには相応しくないと思われ、『名詞節を作る従属接続詞』あるいは単に『形式名詞』と呼ぶ方が正しいように思われますが、これまでの国内の英文法では『関係代名詞「what」』として捉えられています。
さて、関係代名詞「what」は名詞節を作ります。
関係代名詞「what」がつくる語群(名詞節)は名詞として扱われますので、文中では〔主語〕〔動詞の目的語〕〔前置詞の目的語〕〔補語〕のどれかになります。また、関係代名詞「what」は自身が作る名詞節の中で代名詞(形式名詞)として働き、名詞節の内側で〔主語〕〔動詞の目的語〕〔前置詞の目的語〕〔補語〕のどれかになります。
以上の説明で、関係代名詞「what」がどのようなものであるか理解ができたかと思います。
それでは関係代名詞「what」について、例文を通して更に理解を深めることにしましょう。
関係代名詞「what」を使った例文
関係代名詞「what」を使った例文です。
【例】What is necessary for you now is courage. (君にいま必要なものは勇気である。)
(名詞節を〚〛で囲むと)⇒ 〚What is necessary for you now〛is courage.
関係代名詞「what」は名詞節「What is necessary for you now(君にいま必要なもの)」を作り、その名詞節の内側で主語になっています。また、関係代名詞「what」が作る名詞節「What is necessary for you now」は文「〚What is necessary for you now〛 is courage.」の中で主語になっています。
【例】She sometimes misunderstands what I say. (彼女はときどき私の言うことを取り違える。)
(名詞節を〚〛で囲むと)⇒ She sometimes misunderstands〚what I say〛.
関係代名詞「what」は名詞節「what I say(私の言うこと)」を作り、その名詞節の内側で動詞(say)の目的語になっています。また、関係代名詞「what」が作る名詞節「what I say」は文「She sometimes misunderstands〚what I say〛.」の中で動詞(misunderstands)の目的語になっています。
【例】This is what he wrote about you. (これが彼が君について書いたものだ。)
(名詞節を〚〛で囲むと)⇒ This is〚what he wrote about you〛.
関係代名詞「what」は名詞節「what he wrote about you(彼が君について書いたもの)」を作り、その名詞節の内側で動詞(wrote)の目的語になっています。また、関係代名詞「what」が作る名詞節「what he wrote about you」は文「This is〚what he wrote about you〛.」の中で補語になっています。
【例】Practice has made her what she is. (練習が彼女を今の姿にしてくれた。)
(名詞節を〚〛で囲むと)⇒ Practice has made her〚what she is〛.
関係代名詞「what」は名詞節「what she is(彼女の今の姿)」を作り、その名詞節の内側で補語になっています。また、関係代名詞「what」が作る名詞節「what she is」は文「Practice has made her〚what she is〛.」の中で補語になっています。
※関係代名詞「what」の基本的な訳は「もの・こと」ですが、この例文のように状況に応じて意訳することが望ましいです。
【例】He is no more what he was ten years ago. (彼はもはや10年前の彼(の姿)ではない。)
(名詞節を〚〛で囲むと)⇒ He is no more〚what he was ten years ago〛.
関係代名詞「what」は名詞節「what he was ten years ago(彼の10年前の姿)」を作り、その名詞節の内側で補語になっています。また、関係代名詞「what」が作る名詞節「what he was ten years ago」は文「He is no more〚what he was ten years ago〛.」の中で補語になっています。
※関係代名詞「what」の基本的な訳は「もの・こと」ですが、この例文のように状況に応じて意訳することが望ましいです。
【例】He is rich, and, what is better, kind. (彼は金持ちであり、さらに良いことに親切なのである。)
(名詞節を〚〛で囲むと)⇒ He is rich, and,〚what is better〛, kind.
関係代名詞「what」は名詞節「what is better(さらに良いこと)」を作り、その名詞節の内側で補語になっています。また、関係代名詞「what」が作る名詞節「what is better」は文「He is rich, and,〚what is better〛, kind.」の中でコンマによって挟まれていて挿入節になっています。
【例】He is what is called a mama’s boy. (彼はマザコンと呼ばれているものである。⇒ 彼はいわゆるマザコンだ。)
(名詞節を〚〛で囲むと)⇒ He is〚what is called a mama’s boy〛.
関係代名詞「what」は名詞節「what is called a mama’s boy(マザコンと呼ばれているもの)」を作り、その名詞節の内側で主語になっています。また、関係代名詞「what」が作る名詞節「what is called a mama’s boy」は文「He is〚what is called a mama’s boy〛.」の中で補語になっています。
最後に今回学んだことをまとめます。
まとめ
関係代名詞「what」について学びました。
関係代名詞「what」の役割について
- 「~であるもの」「~であること」という語群(名詞節)を作る。
関係代名詞「what」の和訳について
- 基本的には「もの・こと」と訳す。
関係代名詞「what」の位置について
- 節(主語と動詞を含む語群)の先頭に置く。
関係代名詞「what」の正体について
- 「もの・こと」を表わす名詞の「the thing」と関係代名詞「which」が融合したものである。
関係代名詞「what」の名詞節内での働きについて
- 〔主語〕〔動詞の目的語〕〔前置詞の目的語〕〔補語〕のどれかになる。
関係代名詞「what」のが作る名詞節の文中での働きついて
- 〔主語〕〔動詞の目的語〕〔前置詞の目的語〕〔補語〕のどれかになる。